輝かしいあの時代を駆け抜けた名車たちを手に入れる、ラストチャンスは今かも…というワケで、新ジャンル・クルマ情報誌「輸入車道楽 SHA LUCK」の記事から注目ネタをピックアップしてお届けする「ギリギリ・ボーダー名車」たちの世界。最終回は、歴代オーナーに愛され続けてきた「よき時代のS」をば、ご紹介いたします。

1988年式 メルセデス・ベンツ 300SE 158万円ナリ。

「次もいい方に…」オーナーの願いは、時を超えて

「このクルマは当店だけで3人のお客様に乗られたクルマ」と、少しだけしんみりと、どこか嬉しそうにアイディングの白濱勝秋社長は語ってくれました。直前のオーナーも、長期の海外赴任で仕方なく手放したそう。

大切にしてきたんだろうなぁ…と、ひと目でわかります。この時代のメルセデス・ベンツにとっては持病と言える「曇りがちメッキ」も、この300SEはピッカピカ。特注品でしょうか、ウィローグリーンのボディカラーに合わせた、グリーンの本革シートもほとんどヤレを感じさせません。

3世代のオーナー全員がきっと、このコンディションに目を見張ったことでしょう。だからこそ、「自分も大切にしたい」と思い、それを実践し、それが未だに奇跡のような「よき1台」として、新しいご主人様を待っているのです。

艶やかなグリーンのレザーシートは、思わずスリスリしたくなるほど、柔らかな光沢を放ち続けています。大切にしてくれた3人のオーナーの想い出が息づく空間に、惚れ惚れ…。

最近のSクラスとはひと味違った、凛とした機能美を感じさせるインターフェイス。細身の大径ステアリングは、この世代のメルセデス・ベンツならでは。

当時はひたすら「デカい!」イメージがあったSクラスですが、現代の目で見ると、押し出しと扱いやすさがちょうど良い具合にバランスされているように思えます。エンジンは3Lの直6SOHCエンジンを搭載していました。

新車当時はもしかすると「成功者の証」としてギラギラしていたのかもしれません。けれど今はほどよく年齢を経て、とても落ち着いたたたずまいに変わっています。手放したオーナーさんもきっと、最高の「大人らしいおもてなし」を味わうことができたのでしょう。

別れの言葉は「次もいい方に乗ってもらってください」…そこには、いたわりと感謝の気持ちが、込められています。

80年代の124/126を中心に、素性のしっかりした極上車を販売してくれるアイディング。パーツの在庫も豊富で、日本中から頼りにされている。もちろん白濱社長の人柄も、頼りにされる理由のひとつだ。

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