1985年から2007年までの伝説的企画、特集を一冊に凝縮。この連載では、モーターマガジン社全面協力の元、同社出版誌である【名車の記憶】ホンダスポーツクロニクルより、ホンダの名車の歴史を振り返り、紹介をしていきます!(あぁこ@ロレンス編集部)

NSX タイプS 鮮烈デビュー

『タイプR』は主にサーキットで活動するクルマに対して、この『タイプS』はプロのドライバーでなくともワインディングを駆け抜ける喜びを得る事に重点を置き、 あの“R”をもっと身近にと開発されたモデル です。1992年11月から3年という期間限定販売だったNSXタイプRですが、 1997年2月にはそれに変わる新モデル 「NSXタイプS」 (同Sゼロ)が登場しました‼︎では、そのタイプSとは一体どんな魅力が詰まったクルマなのでしょうか。今回は、街乗りに持って来いでなおストイックに速さを追求したスポーツモデルのNSXタイプSに注目しています ❤︎

しっかりとした手応えのステアリングを切り込むと、ノーズが狙ったラインにスーッと向かっていく。リア側のサスペンション剛性を高くし、相対的にフロント側が沈み込む形でじっとりと接地していく感覚。動きがわかりやすい。タイヤの接地状況もステアリングを通してよくわかる、これなら安心してコーナーに飛び込んでいける。この操縦性の味付けだと、サーキットではリアの接地限界にもの足りなさも感じるかもしれない。つまり、フロントの接地に対してはリアの接地能力は幾分変化しやすい方向にあるからだ。でも、サーキットで攻めるなら、タイプRに近いセットのタイプRに近いセットのタイプS・Zeroがある。これは、高速域の安定重視。

その変わり、正確なブレーキングできっちりとフロントタイヤに荷重を与えて、その荷重変化を瞬時に読み取りながら、いいタイミングでステアリングを切り込んでいく必要がある。そこにハマった時の動きの精確さは最高だが、このためにはタイプRほどではないにせよプロに近い腕が求められる。そこへいくとタイプSは、ドライビングの許容度が高いのだ。

速く走らせるには 無駄なテクは似合わない

エンジンはトルクのゆとりが出た上にミッションがクロスレシオとなったので、柔軟性は抜群。8000rpmでシフトアップすると2速、3速、4速間は5800rpm以上に保たれるから、常時VTECは高回転側。パワーのつながりは抜群にいいのだ。速く走るための基本は、ここよりエンジン回転数を下げないことだけど、6速を駆使すえばそう難しくはない。

目には見えない 激進化!

なんだぁ、ちっとも変わってないじゃない、と思ったキミ。それは大ハズレだ。たしかに、外見の変更はごく僅かで、新たにカスタム・オーダー・プランに設定されたBBS鍛造アルミホイールぐらいでしか先代との区別がつかないかもしれない。

けれども、そのアルミボディだって、より軽量化をはかりながら、パネルの強度を高めてきている。つまり、こんな目立たないところでさえ、着実に進化させてきているのだ。もちろん最大の改良は、MT仕様のエンジンが3ℓから3.2ℓへとアップし、クロスレシオの6速ミッション(1速から4速までダブルシンクロを採用)が与えられたこと。しかも、シリンダーブロックはFRM(繊維強化金属)を採用し3㎏も軽量化している。(HA1997年4月10日号掲載)

走ると気持ちいい滑らかな乗り心地に、操縦性もすごくナチュラル、運動性能も抜群でトラクションコントロールも優れているときたら長く付き合えそうなクルマだと感じますね。 エアコンあるし←重要です。(笑)