バイクとコーヒーは昔から仲がいい。
風にさらされてバイクで走った先で飲む一杯のコーヒーは格別なのだ。いえいえ、私はお茶が好きですって方もいらっしゃるだろう。ただ、これは様にならない。やはりバイクにはコーヒーなのだ、と言い切りたい。

私の世代ではライダーのバイブルともいえる、バイク漫画でもコーヒーは重要な役割として登場していた。「750ライダー」ではピットインという喫茶店が舞台の中心だったし、「キリン」ではランブルというコーヒーショップに登場人物たちが集まっていた。そして極めつけは「ケンタウロスの伝説」で有名な600マイルブレンド。一杯のコーヒーを飲むためだけに、横浜から神戸の喫茶店まで日帰りするというエピソードだ。

この頃はバイカーカフェとして、バイク乗り向けのようなお店も増えているから、ちょっとしたツーリングの目的地として利用する方も多いだろう。私が若かった頃は、バイカーカフェのような気の利いた喫茶店はほとんどなかったけど、やはりバイクでお気に入りの喫茶店にはよく通っていた。

そこはマスターがバイク乗りで、常連客もバイク乗りが多く、コーヒーを片手にバイク談議がつきないという、バイク好きには最高の空間だった。過去形なのはずいぶん前に閉店してしまったからだが、その時に知り合った人々は、いまも私の大切なバイク仲間として一緒に走り続けている。まさにバイクとコーヒーが取り持った仲といえるだろう。

ビーズコーヒー代表の木村弘幸さん。

先日、ロレンス編集部で企画したカフェツーリングで訪れた、文京区千石の「ビーズコーヒー」のマスター木村弘幸さんもバイク乗りだ。雰囲気のあるお店の前には古いトライアンフが、ディスプレイのようにとめられていた。ビーズコーヒーではスペシャルティコーヒーとよばれる、厳格な品質管理の元で生産されたコーヒー豆を、ブラジルなどの生産者から直接買い付けて店内で焙煎している。

木村さんが淹れてくれた一杯のコーヒーは、コーヒーってこんなに爽やかな飲み物なんだと感動するほどだった。世を席巻したシアトル系のコーヒーチェーンなどのコーヒーとは、同じ飲み物とは思えないといったら言い過ぎだろうか。木村さんいわく、いまは第三次コーヒーブームなのだそうだ。その火付け役となったのは、2015年に清澄白河にオープンして大きな話題になった、サンフランシスコの「ブルーボトルコーヒー」で、コーヒー界のAppleと呼ばれている。

そもそも私はコーヒーが好きで、一日に何杯も飲んでいるが、コーヒーの味などにはあまりこだわる方ではなかった。コーヒー豆に、格付けされたスペシャルティコーヒーというのがあることも、木村さんのお話しで初めて知ったくらいだ。コーヒーは飲み物の魅力もさることながら、コーヒーを淹れる器具も様々で、機械好きのバイク乗りの心をくすぐるグッズにもこと欠かない。コーヒーを単なる飲み物としてだけではなく、趣味として深めてみるもの楽しいだろう。やはりバイクとコーヒーは仲がいいのだ。