最近2ストのバイクが再び人気を博しているようだ。そこで、モーターマガジン社のムック本『2ストBIBLE 2016』が、2ストビギナーのために、代表的な2ストマシンをリストアップしているので、ここで紹介していこう。
©モーターマガジン社(写真・松川忍 / テキスト・太田安治 / 車両協力:ウエマツ)
『2ストBIBLE 2016 より抜粋』
デジタル編集:楠雅彦@ロレンス編集部
マッハ、といえばシリーズ初号機のこのモデル
1966 年に登場した 250ccのA1(サムライ)、1967年の350cc A7(アベンジャー) の北米市場における成功を収めたカワサキは、絶対的な加速を誇る高出力車の開発に着手。空冷 2ストローク並列3気筒エンジンを搭載する500SS マッハIII がそれである。1969年はじめには対米輸出用の生産を開始した500SSは、日本国内では北米よりやや遅れて1969年9月より販売されている。
発売当時のアメリカでは、まだ大きな燃料消費及びオイル消費、猛烈な白煙などには寛大であり、1000ドル以下といいうリーズナブルな車両価格や、0→100mで約4秒というカタログスペックを誇った圧倒的な加速性能もあいまって販売成績も好調であった。また、従来のタイヤでは500SSのパワー に耐え切れずテスト走行中にトレッド剥離が続発したため、ダンロップが新しくH規格のナイロンコードタイヤを 500SSのために開発したという。
耳から、手足から、鼻から伝わるあの頃の衝撃的な感覚
フル加速すると山火事でも起きたのかと思うほど盛大な白煙を巻き散らすのがお約束のマッハだが、この車両が吐く白煙は見る者を不安にさせるほどではない。
現代のオートバイと比べれば加速力も最高速もたいしたことはない。握力を鍛えたくなるほどブレーキの効きは甘いし、手足はもちろん、尻まで痒くなるほど振動も大きい。今の「よくできたバイク」という基準で見れば欠点だらけなのかもしれない。
だがマッハを愛する人たちは、きっとその欠点さえもが可愛いのだろう。その魅力は今なお鮮烈だ。