歴史的に見れば、1960年代には確立されたといえるモデルで、特にアメリカ翻刻ではステイタス・シンボルとして、その威風堂々たるスタイルで高い人気を誇るファミリーなのだ。
王道をゆくハーレーらしいハーレー、ツーリング・ファミリー。
エンジンによるカテゴライズ
まず、ハーレーの全ファミリーを知る上で把握しておきたいのは、エンジンによって3つにカテゴライズできるということだ。
このツーリング、そして次回紹介するダイナ、ソフティルは基本的にどう型のビッグツインと呼ばれる(スポーツスター用エンジンより排気量が大きいため)V型2気筒エンジンが採用されており、その構成はOHV方式の空冷2カムVツイン、エンジンとミッションが別体式となっているというのが特徴。
このビッグツイン系は1936年に初代の『ナックルヘッド』が登場して以来、現在の『ツインカム』と名付けられたタイプで5世代目となっている。
そしてほかにスポーツスター、Vロッド用エンジンの3タイプが存在するのだ。
ツーリング・ファミリーの特徴
さて、このファミリーの特徴といえば、ずばりその名の通りツーリングに最も適しているという点だ。
高い剛性を持つ専用のリア2本ショック式フレームに、ハーレー全ラインナップ中では最大排気量の1689cc(スペシャルモデルのCVOシリーズを除く)となる『ツインカム103』エンジンを搭載。
街中でのトルクフルな走りはもちろん、高速クルージング時の追い越しなどでも余裕のパワーを確保している。
また全車種に大型のフェアリング、もしくはウインドシールドが標準装備され、リアに大容量のバッグが備えられているので、数泊程度のツーリングでも全く問題はないだろう。
そしてエレクトラグライドなどには、オーディオシステムやオートクルーズコントロール、タンデム時に便利なインターコム装備など、まさに快適なロングライディングを楽しめるラグジュアリー仕様。
さすがは一日500km以上走るのが当たり前となっているアメリカ製ならではの充実装備なのである。
これらの仕様を見ればおわかりの通り、基本的にツーリング・ファミリーは、まず絶対的にロングランをメインとしたライダーにお勧めのモデルとなる。
長距離走行時の快適性は他のファミリーとな別格であり、大型フェアリングなどによるプロテクション効果や、不快な振動がライダーへ伝わらないようラバーマウントされたエンジンなど、このラインナップならではの恩恵は一度高速道路などを長距離走れば確実に分かるはずである。
ただし、特にエレクトラグライド系などは上位機種になるほど豪華な装備になる反面、車重は当然重くなる。最上位モデルのエレクトラグライド・ウルトラ・リミテッドなどは重量が400キロを超えるため、女性や小柄な方がおいそれと取り回しできるとは言い難い。
基本的にこのファミリーは重量級ということを、まず忘れないでほしい。
しかし、全てにおいてこのファミリーが『長距離専用の重量級モデル』というわけではない。堂々としたスタイルが伝統あるハーレーの存在感を強烈にイメージさせるため、近年では普通の足として乗りこなす若者も増えてきているのだ。
また特にアメリカ本国では、これらツーリング系をベースにしたカスタム『バガー』(バッグを装備した、というのが語源)がブームとなっており、その火は数年前から日本にも上陸。
さらりと普段着で乗りこなすというのもアリである。
街乗り重視で考えるなら、ロードキングやストリートグライドが比較的軽量なのでターゲットとしては最適だが、もちろん、体力に自信のある方なら上位の重量級モデルを選択しても良い。
その圧倒的な重量感は全ファミリーで一番だ。