©東本昌平先生/モーターマガジン社
退屈していた女に不意に訪れた アフリカツインとの出会い
午前6時。
アキコはいつものとおり目覚める。ベッドの傍らにはパートナーのヒロミがまだ熟睡している。
昨夜の深酒を後悔しつつ、ヒロミを残して仕事前のジョギングに出かけるアキコだったが、信号待ちをしているときに、目の前を通り過ぎて行った一台のオートバイになぜかふと、関心を持つのである。
それは大型のモーターサイクル。HONDAのアフリカツインだった。
朝起きて、走って、働いて、酒を飲んで、深夜に帰宅して、また朝起きる・・
アキコは退屈していたのだ。
仕事が面白くないわけでもないし、パートナーのヒロミとの暮らしに倦んでいるわけでもない。ただ、同じように繰り返される毎日に、疲れていたのかもしれない。
衝動的にアフリカツインを手に入れるアキコ
アキコはほとんどとっさにバイク屋を訪れ、アフリカツインを手に入れてしまった。
ジョギングのその足でディーラーに行き、まるで子猫でも拾うかのような軽さで、契約を済ませてしまうのである。
アフリカツインにまたがった瞬間、アキコの退屈はどこかに消えていた。
どこを走っても気分はジャングル、気分はサバンナ。
DCTによってクラッチを握るという手間からも解放された、最先端のアドベンチャーバイク、アフリカツイン。そして自由になったのは左手だけではない、アキコの心もまた はてしない草原を駆ける冒険者のそれのように、自由闊達な情熱に満たされるのである。
by オートバイ 2016年 5月号 別冊付録 『RIDE』
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