今回のロレンスツーリングで私がメインで乗ったのは、101馬力のテスタストレッタ11°・水冷デスモドロミックVツイン821ccエンジンを搭載する、現行ドゥカティ・モンスターシリーズのスタンダード版である821でした。

初代モンスターは1992年秋発表。

Saori記者とAkiko記者も、最新のモンスターのスタイリッシュさにメロメロ(死語)でした? 主にタンデムの移動なのでこの後取り外しましたが、リアシートには赤いカバーが装着されています。

初代モンスターが登場したのは、1992年秋のケルンショー。カジバグループ時代以降、スーパースポーツモデルばかり作っていたドゥカティがネイキッドをデビューさせたことは、当時大きな話題となりました。

1992年発表の初代モンスターM900。空油冷式V型2気筒904ccエンジンを、851/888系トレリスフレームをベースとしたフレームに搭載してました。

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ご存知のとおり、その後モンスターはドゥカティのドル箱モデルとなって、世界中に多くのファンを生み出しました。すでにシリーズ累計13万台以上販売したというのですから、メーカーにとっては誇らしい「孝行息子」ですね!

個人的には、20年くらい前に乗った初期のM900は、あまり好みのモデルではありませんでした。ネイキッドなのに、ハンドルの切れ角がロードレーサー並みになくてUターンなどの小回りが苦手。エンジンキャラクターはやたら中低速寄りで、ドゥカティ・スーパースポーツのような高回転域までの気持ちいい吹け上がりが楽しめない・・・など、試乗後あまりいい印象がなかったです。

しかし、そのスタイリングには魅了されたのを覚えています。カワサキゼファーのヒット以来、ネイキッドのスタイリングはやたら「レトロ寄り」になりましたが、ミゲール・ガルーツィ作のM900のスタイリングは新しさとスタンダード感がうまくバランスされており、モダンバイクとしてとても好ましいものでした。

その後、先述のようなネガ面はモデルチェンジ毎に解消・緩和され、どんどんモンスターはその魅力を増していくことになります。では、最新のモンスターは? ・・・興味津々でした。

ちょっと荒々しい・・・平凡・中庸ではないことがモンスターの魅力。

現在のモンスターシリーズのラインアップには、821cc系のほか1200cc系が上位にあります。後者が167万8,000円から・・・の価格に対し、前者は138万2,000円から。約30万円の価格差ですが、821の試乗後に思ったのは「1200に乗らずにこんなこと言うのはなんだけど、30万円安くて十分に楽しめる821のほうが私は良いな」という感想です。

スーパースポーツ系ドゥカティのテクノロジーをフィードバックした821は、とても速いネイキッドです。一般にネイキッドは、スーパースポーツよりも「おとなしめ」なキャラクターに落とし込む傾向があると思いますが、821はかなり元気な部類ですね。体感できる振動も結構あり、排気音もなかなかヤンチャ。ワインディング主体の公道でのスポーツライディングを楽しめるネイキッドの、最右翼に属するモデルです。

走行モードの切り替え機能、アンチロック・ブレーキ・システム、トラクション・コントロールなどなど、最新スーパースポーツでおなじみの電子制御技術も搭載。なんだか自分が運転が上手くなったと錯覚するくらい各制御の介入が自然なので、モーターサイクルを速く走らせることって、こんなに楽しかったんだ! というスポーツライディングの楽しみを再認識させてくれます。

ネイキッドでも、スポーツ性を大事にする・・・そんなドゥカティの考えをうかがえるのが、モンスターのキャラクターなのです。

走り写真がないので、ドゥカティジャパン公式サイトから画像を拝借しました(苦笑)。

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依然、モンスターは魅力的なドゥカティでした。

スーパースポーツで採用されることが多い、スリッパークラッチを821は備えています。コーナー進入前のシフトダウン・減速で後輪がロックするような過負荷時、後輪の挙動の乱れを抑制する機能がその主目的ですが、この装備は街乗りでもありがたみを感じさせてくれます。

821のスリッパークラッチは、低回転時にセルフサーボシステムにより、プレッシャープレート・スプリングにかかる負荷を軽減してくれます。その結果、クラッチレバー操作に必要な握力が少なく済むので、頻繁なシフト操作が必要になる街乗りでは疲労軽減効果大です。

平地では、アイドリングでもスルスル前に進めるくらい低速トルクがあるので、821は渋滞路でもストレス少なく走れます。高速道路、ワインディング、そして市街地・・・どんな場面でも楽しく走る琴ができる万能スポーツモデルというのが、821をはじめとするモンスターシリーズの魅力です。

現在ドゥカティは、ディアベル系、ハイパーモタード系、そしてムルティストラーダ系と、20数年前に比べるとはるかにスーパースポーツ以外の広いモデルレンジを展開をしています。そして昨年スクランブラー系がこれに加わったので、ほかのキャラクターが立ったモデルに比べると、中庸に見られてしまうネイキッドのモンスター系の影が薄くなった気もします。

でも乗ってみて、改めてモンスターは依然魅力的なドゥカティだと思いました。ネイキッドに必要な扱いやすさと、スーパースポーツ的な動力性能の高さを兼ね備えたモンスターの良さを、機会がありましたら是非試乗などでお試ししていただきたいです。

今、巷で話題?の「ロレンス・ハンドサイン」を決める? Akiko記者と私。821のリアシートは中央部が盛り上がったデザインですが、「思いの外タンデムが快適」とのAkiko記者の弁。タンデムのしやすさを考慮して、シート後方左右にはグラブバーも備わっています。