世界最上級の2輪メディア、CYCLE WORLDの報道によると、MVアグスタに連邦倒産法第11条が適用されたとのことです。
チャプター11ってナニ?
連邦倒産法第11条は「チャプター11」と略して呼ばれることが多いです。非常に大雑把ですが、再建のための法・・・と考えていただければ良いと思います。
再建型倒産処理手続を内容とするものであり、債務者自らが債務整理案を作成し債務者主導の再建が可能である(いわゆる「DIP型」)点で、日本でいう民事再生法に相当する。コーポレーションに適用されることが想定された再建型倒産処理手続という意味で、日本の会社更生法に相当すると言われることもあるが、制度内容としては民事再生法が近い。
MVアグスタの株式の25%を所有するメルセデスAMGは、今の所何もアナウンスしていませんが、この動きで会社の資産保護、労働者の雇用は確保されているとのこと。ですので、明日急にMVアグスタがどうにかなってしまう・・・ということはありませんのでご心配なく・・・です。
集中と選択・・・を求められる今後のMVアグスタ。
CYCLE WORLDの記事では、高いパフォーマンスを示している3気筒モデルにラインアップを集約すべき、と提言しています。
世界スーパースポーツ選手権で常に首位争いする強豪、というポジションをMVアグスタF3は獲得しています。1960〜1970年代の世界ロードレースGPで幾多の栄光を手にしたスポーティな3気筒のイメージを活かす・・・そして実際F3系の優秀さはロードレースや公道で証明されているので、CYCLE WORLDの提言は確かに正しい、と言えるでしょう。
一方4気筒1000ccのF4は、L.キャミアがSBKでフリー走行で良い位置を走ったりもしていますが、決勝では目立った記録を残せずにいます。現在、SBKのレギュレーションが改造範囲の狭いEVOクラスになってしまったため、ヤマハYZF-R1やカワサキZX-10Rのような高額で高機能なモデルがスタンダード車として販売されるようになりました。
SBKのレギュレーション変更で、4気筒1000ccクラスの価格競争が激化。
1980年代後半には、市販車改造クラス最高峰がTT-F1からSBKに移行するのに合わせ、ホンダは当時としては非常に高額(148万円)なVFR750R(RC30)を用意しました。それと同じ現象で、レギュレーションで改造範囲を狭めると、どうしてもスタンダード車があらかじめ高性能=高価格になってしまう弊害?が顕在化します。MVアグスタF4のようなプレミアモデルは、同じレイアウト及びレンジの日本製高性能スーパースポーツとの価格競争(200万〜300万円価格帯)に晒されることになるので、非常に売り上げを稼ぎにくくなってしまいます。
3気筒の集中が、MVアグスタの生きる道?
一方、F3やブルターレ800などは、並列3気筒675〜800ccクラスのスーパースポーツ及びスポーツネイキッドという、国産モーターサイクルにはない独自の価値観を築くことに成功しています。確かに、3気筒にラインアップを集中させることは、今のMVアグスタにとっては一番良い道と思われます。
MVアグスタという価値あるブランド、そして魅力的なモーターサイクル製造業者が、このピンチをどう乗り越えていくのか・・・応援しつつ、その動向を見守っていきたいです!