1985年から2007年までの伝説的企画、特集を一冊に凝縮。この連載では、モーターマガジン社全面協力の元、同社出版誌である【名車の記憶】ホンダスポーツクロニクルより、ホンダの名車の歴史を振り返り、紹介をしていきます!(あぁこ@ロレンス編集部)
量産車として驚異的なレベル
S2000はホンダ創立50周年を記念したFRオープンスポーツとして誕生しました。開発責任者は、あのNSXやインテグラ タイプRを手掛けた上原繁氏。多くの自動車ファンを魅了し続けたS2000は レーシングカー的なメカニズム だったのです!!
S2000の特徴として、その高回転エンジンが注目できる。9000rpmというレブリミットも。実際にリミッターに当たるところはもう少々高く、メーカーとしては1万回転くらいは許容するだろう。これは量産エンジンとしては驚異的なレベルだ。
ギアシフトの確実な操作感もスポーツカーにとって欠かせない魅力だ。ホンダ自製のギアボックスはシフトストロークも短く、確実でしかも軽くスムーズだ。この操作感の良さは、数あるスポーツカーの中でも世界一だと思う。
ギア比的には2速、3速を更に低めたほうが面白いが、これはどこかのサーキットに合わせた結果だろう。リミットを7000rpmくらいにして使う分にはあまり気にならない。9000rpmという高回転を使えるエンジンゆえ5速でも成り立つかもしれないが、6速あれば更にシフトの面白みは増す。クラッチもスパッと繋がり、踏力も軽く気持ちいい。
オープンボディは剛性を取りにくいが、S2000の場合、最初から造る以上、しっかりとしたものを造るという意図が見える。すなわち基本骨格の設計そのものが違う。独立したフレームを持たないモノコック構造でこれだけ剛性を確保した例は世界でも少ない。更にこのボディが軽量にできていることに驚かされる。S2000の操縦安定性はメーカーの生真面目さが現れており、高い安定性に満ちたものだ。旋回中心を後方に採ることにより、FF車のように前輪で自由にクルマの向きを操れる。この感覚は周囲にあるその大多数がFF車であることを考えると、まったく違和感なしに受け入れられる特性である。(原文のまま)