歴史的名車、YAMAHAのRZ。今回は、東本昌平先生監修のモーターサイクルムックマガジン『RIDE 71』にて特集されたRZシリーズの中から、1980年生まれの初代RZ250をピックアップします。
RZが成し遂げた偉業
RZ誕生前夜となる1970年。それは、オートバイ・クルマの中心市場であるアメリカで「マスキー法」なる大気浄化法案が成立し、世界中のメーカーが環境対策に大きく揺れる時代を迎える真っ只中にありました。
もちろん、この法案自体は、おもにクルマの排気ガスを規制することが目的ではありましたが、オートバイも決して例外ではなく、2ストロークエンジンにとっては、まさに存在終了を意味するに等しいものでした。
時代の流れには逆らえない、けれど「2ストロークのヤマハ」としての集大成を作りたい。その思いが、RZ開発につながったのでしょう。
排気ガスを浄化するために、冷却効率と燃焼効率を良くし、新しい技術を入れ込みながらも、2ストロークの良さのひとつである、軽量さ、シンプルさも失わないように…ヤマハはRZに賭けていました。
そんな並々ならぬ努力の結果、最後だと言われた2ストロークエンジンは、紛れもなくRZの誕生によって息を吹き返しました。ライバルメーカーも、RZを打倒せんと開発を続け「2ストローク250cc」という確固たるスーパースポーツのカテゴリーが生まれました。
1台の優れたオートバイが、絶滅寸前だった内燃機関を救うーーRZは歴史的大偉業を遂げたのです。
歴史に残る、美しきオートバイ
|文:中村浩史
|写真:松川忍