©東本昌平先生/モーターマガジン社
メーカー自ら”アルティメットマシン(究極のマシン)”と謳う、それがハヤブサです。
99年に発売されたハヤブサは、当時世界最速といわれていたカワサキ ZZ-R1100やHONDAのブラックバードに堂々と挑み、彼らが到達できなかったノーマルのまま実測値 時速300キロを超える最高速度をついに実現したのです。
ひとたび加速すれば、一瞬で甘美な世界への扉が開く
この写真のハヤブサは、RIDE 19に掲載された、2007年に初のフルモデルチェンジを受けた、2009年型です。エンジンは1340cc、最高出力は175ps/9500rpm、最大トルク 15.8kgf-m/7200rpm。当時の価格は156万4500円(税込)でした。
ちなみに現行型(国内仕様)は、
1339ccで、最高出力 197ps/9500rpm、最大トルク15.8kgf-m/7200rpmとなっています。
乗りやすく、誰でもその凄まじいパフォーマンスを味わうことができるツアラー的な性格。シビアすぎるエンジン特性ではなく、安心して開けることができるからこその実力。200Km/hオーバーのクルージングが可能でありながら、低速域での軽快なハンドリングを両立。
ハヤブサはまさしく究極を磨き上げた究極、となって飛翔したのです。
”かつての名王者”という呼称を潔しとせず、いまでも現役として空気を切り裂く怪鳥
やっぱり一度でも世界一、世界最速という位置にいた車両には特別なオーラがあります。
Z1やNinja GPZ900Rもそうだし、ZZ-Rもそうですが、最初から平均的な性能を目指した結果のスタンダードではなく、”究極”を目指して作られたってことは、やはり別格な価値があると思います。
もちろん、絶対的王者でさえも時代の流れには勝てず、徐々に後から来る若い挑戦者に敗れ、抜かれていくように、時代を超えて王者でありつづけることはできないわけですが、それでもかつての名王者が現役を退いたあとでも伝説としての名誉を保ち続けます。
そうした栄光ある王者の一台であるハヤブサですが、他のバイクと違うのが、ハヤブサがいまでも超一線級のオートバイだってことです。もはや ひたすらシンプルに世界最高速を競うような時代ではなく、さまざまなステージでの相対的な速さや性能が重要視されるようになったこともあるし、各社が1000ccクラスのスーパースポーツでのフラッグシップ争いに関心を移したこともあるでしょうが、それでもハヤブサはいまだに多くのライダーの心を掴んで離さない魔力・魅力があります。
前から見ても横から見ても後ろから見ても、「あ!ハヤブサだ!」と一瞬で認識できるスタイリングと存在感は、他にないこの車両の魅力です。
ああ、欲しい。欲しいです。