人気のゼッツーに乗っているからといって、話しかけてくる相手が好意を持ってくれているとは限らない。美女に声をかけられたからといって有頂天になっていてはいけないってこと。
女の執念は存外 オッカナイものなのさ。

©東本昌平先生/モーターマガジン社

ノーマルに近いZII(750RS)で峠を流してきた男

峠で新品のタイヤのひと皮剥いて、一服しに立ち寄った小さなファミリーレストラン。愛車のZIIと同じタイガー模様のヘルメットを片手に、彼はカウンターでコーヒーを頼んだ。

昔なら、少し走れば心は踊ったものだが、近頃ではちょっとやそっとバイクに乗ったところで気が晴れることがなくなっている。なにかパァッと気が晴れることがあればいいが、さりとてそれを探しているわけでもない。

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ふらりと寄った店でコーヒーを頼む男。
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そこに現れた美しい女性ライダーが声をかけてくる理由

すると、彼の横に座った女性ライダーが、こちらを見るなり声をかけてくる。

「おもてのカワサキ、あなたの?」

「あ」驚く彼だったが、その女性ライダーの美しい顔には見覚えがあった。半年前、自分に勝負を挑んで事故った女がいた。

あのおんなだ!!・・

そこに現れた女性ライダー
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声をかけてきたその顔には見覚えが・・・
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フラッシュバックするのは半年前の出会い
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半年前。彼に挑んできた一台のバイク。
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乗り手は女だった。無理をしてこけてしまう。
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女には取り巻きがいた。挑発的な表情で彼を睨みつけるいくつもの視線に、うんざりしたことを思い出す。
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めんどうなことがあるもんだ。まったく。

冗談じゃない、めんどうはごめんってもんだ。
逆ナンなら良かったが、いくら美人でも変な因縁は願い下げさ。

彼はそそくさと支払いを済ませ、外にでる。すると案の定、女がついてくる。
女はゼファーにまたがり、ヘルメット越しに彼に挑発的な視線を送ってくるのだ。

めんどうなことはあるもんだ。男の憂鬱は晴れるどころか、気が重くなる一方だ。

くわばらくわばら。面倒にならないうちに退散しよう
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マフラーとリヤサス以外はほぼノーマルのZII
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ああ、やっぱりきやがったか。
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