【1/100の映画評】観た！よかった！言えない！『スターウォーズ フォースの覚醒』

『スターウォーズ フォースの覚醒』を観た。
もちろん感想は書けるが内容にはあまり触れることができない。ネタバレしたら見に行かないような映画か？というとそんなことはない。ストーリーを全て知っていたとしても何度でもみたくなる作品だし、その度に楽しめるだろう素晴らしい映画だ。
ヒットメーカー J.J.エイブラハムス監督の面目躍如、といったところだ。

そして、最初期作である『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』の登場人物は（存命であれば）、ほぼ全員登場してくれるのも嬉しい。ファンなら絶対に見逃せない一作であり、実際に観た後でも、なんでも観たくなるし次回作も必ず観る決意をさせる凄い作品だ。

ストーリーは最初期の『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』への敬意を込めたオマージュ

帝国軍崩壊後、30年近く経った世界。その残党たちは謎の最高指導者のもとに再結集し、ファーストオーダー（最初の秩序、とも訳すべきか）と名乗って、徐々に勢力を拡大しつつあった。共和国はファーストオーダーの脅威にまたも手をこまねいて傍観しており、ファーストオーダーの野心を阻むものはレジスタンスを集結していた。
そんな戦いの中に、ヒロインのレイを始め、さまざまな人たちが巻き込まれていく・・・。

詳しいことは書かないが、本作の全体的なストーリーとしては、スターウォーズ第1作である『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』のオマージュになっており、ほぼ同じ流れになっている。砂漠の星から始まり、超巨大兵器との決戦に臨むところも同じである。
同じプロットを使いながらリメイクではなく、完全にオリジナルのストーリーとして成立させているのが、エイブラハムス監督の凄みだ。実に美しい作りである。
また、初期からのファンには嬉しいハン・ソロとチューバッカのコンビの大活躍や、恐らく世界中でもっとも愛されている宇宙船であるミレニアム・ファルコン号も画面いっぱいにその勇姿を見せてくれるから、興奮間違いなしだ。
（中学時代に消しゴムから削りだした自作のファルコン号を、担任教師に”自分で作ったなんて嘘で買ってきたオモチャを学校に持ち込んだんだろう！”とイチャモンつけられて没収されたのが、いい？思い出だ・・）

本作はスターウォーズシリーズを全く観ていない人でも絶対に楽しめるが、せめて第1作の『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』を観てから劇場に足を運んだ方が、思わずニヤリとするお楽しみが所々にあるので、オススメしておこう。
（第1作なのになぜエピソード4かというと、スターウォーズは全9部作の物語として考案され、4-5-6-1-2-3-7-8-9の順で制作されているのだ。つまり本作はエピソード7となる）

正義も悪も未熟で発展途上なところがまた魅力

今回のヒロインは美少女レイだ。彼女の姓は伏せられており、誰か重要人物の血縁であることは容易に想像できる。そして、その答えは本作で明らかになる。

また、今回のヒールであるカイロ・レンはダース・ベイダーの後継者を自認するフォースの使い手であり、彼もまたレイと同じく素性が明らかにされていないが、やはり本シリーズの重要人物の血筋であるとされる。これもまた本作で明らかになる。

ということは、レイもカイロもフォースの持ち主であるわけだが、レイは覚醒していないしカイロもまだダース・ベイダーには及ばない修行中の身であるとされる。つまり正義の側も悪の側も未熟な者同士の、若者の成長・青春物語という側面も持つのだ。
スターウォーズはそもそも善（ジェダイ）と悪（シス）の戦いであると同時に、親子や兄弟の血縁同士の銀河をまたぐ大喧嘩だ（笑）。そのコンセプトはずっと変わっていないわけだ。
（あれ、そういえば、今回悪のフォース使いたちはシスとは名乗っていないな・・）

ちなみに今回、素性と存在意義がわからない新キャラが、ファーストオーダーの脱走兵（元ストームトルーパー）のフィンだ。彼はファーストオーダーから逃げ出す過程で偶然レイたちと合流し、徐々に彼女たちと仲間になるのだが、彼がその後どういう役割を果たしていくのか気になる。
彼がライトセーバーを操るシーンが出てくるのだが、ライトセーバーはジェダイとシスしか扱えないはずだったのだが。彼がフォースを持つ未覚醒の者なのか、それとも使うだけなら誰でも使える、ということになったのか、そのあたり、次回作以降に答えを待ちたい”伏線”の一つとしておこう。

フォースを感じに劇場へ行こう。

スターウォーズは、宇宙船同士の戦闘シーンと、フォースの使い手たちの時代劇さながらのライトセーバーによる剣戟を含む激しい白兵戦の、双方を楽しむことができる。

その魅力は本作でも存分に堪能できるので安心してほしい。

2015年はもうそろそろ終わるが、間違いなく今年最高のエンターテインメントの一つであり、その凄まじいアクションは劇場で堪能したほうが絶対にいっそう楽しめる。DVD/ブルーレイで観るのもいいが、それは細部に注目してみていく別の楽しみとして、まずは視界いっぱいに広がる美しい世界に身を浸して欲しい。
きっとフォースの存在を信じてみたくなるはずだから。