こんにちは。
中免取得への道も大きな山を越え、佳境に入ってまいりました。

わたしは自動車免許も持っていないので、技能教習と並行して学科(座学)教習を受けています。どんな流れか知りたい方は 過去記事 をどうぞ。

で。学科は1~26番まであり、今朝その中の20番にあたる「交通事故」について学んできたのですが・・・授業で使用される映像後半に流れるドラマ仕立ての交通事故物語があまりにも悲しすぎて、絶対に安全運転をしようとあらためて感じましたので、シェアします。

ちなみに、日の丸自動車学校の学科教習では、 テクニカAV社 の映像を使用していますが、上記の画像及びタイトルはわたしが作成・加工したものであり、無関係です。また、シェアする文章はわたしが授業で見た内容を覚えている範囲で、読み物として自分なりに書いたものです。元素材と異なる点もあるかと思いますが、ご了承ください。

交通事故 -亮の場合-

大学生の亮は、無事就職も決まり、自動車免許を取った。
「お前すげーじゃん!親父も車貸してくれるんだろ?いいねえ」
「何、この免許証の写真!ウケる!」
同期の仲間も囃し立ててくるが、悪い気はしない。
亮は敦子に目を向ける。今日も可愛い。
すると敦子が言った。
「私、運びたい荷物があるんだ。亮くん、手伝ってよ」

足早に自宅に戻る亮。食卓には家事をしている母がいた。
「母さん、今日親父の車借りていい?」
「今日は叔父さんが来て、お父さんと呑むって言ったじゃない」
「じゃあやっぱ車使わないよね!借りるわ!じゃ!」
意気揚々と車庫へ向かい、シルバー色をした父の車に乗り込む。
「初心者マークなんてカッコ悪いよな。貼らなくていいか。」

強がってもまだまだ初心者。車線変更もおぼつかないが、敦子が待っていると思うともたつく訳にはいかない。
緊張してないわけでもないが、まあ大丈夫だろう。教習所であんなに練習したしな。
そう考えながら車を走らせていると、ガソリンがなくなってきた。
「なんだよ親父。ガソリンくらい入れとけよな」
ガソリンスタンドに寄り一息ついたかと思うと、今度は渋滞にはまる。
「ツイてねえな」

集合場所。待ち合わせ時間を大幅に遅れる亮に、仲間が電話をかける。敦子は大荷物を抱えている。
「おい亮、まだかよ」
「敦子も待ってるよ、早く早く」
眉間にしわを寄せた亮は、こっちだって色々大変なんだよと電話を切る。急がねば。
携帯はシフトレバー近くに置いた。

亮の自宅には、父が帰宅していた。
「お父さん、亮が車借りてったわよ」
「そうか」
「大丈夫なのかしらね、あの子」
「・・・あいつ、どこまで行ったんだ?」

イラつきながら先を急ぐ亮の携帯が鳴る。自宅からだ。
「なんだよ」
携帯に目線を向け、手を伸ばす。
「もしもし」

その時だった。
ほんの一瞬だった。
左の脇道から現れた、歩行者のスーツを着た男性。
即死だった。

   

亮はとある家にいた。黒いスーツを着ていた。
膝と額は床にくっつき、離すことができない。
亮の向かいには、おむつもとれていない小さな子どもと、その子を抱く若い女性がいた。

「旦那を返して」
「命を返して」

女性はその言葉を繰り返した。
子どもはぐずりはじめ、部屋に泣き声が響き渡った。

「ごめんなさい」
「命を返すことはできません。お金で解決できるとも思っていません。でも・・・一生懸命働きます。せめてお金を・・・お金・・・お金・・・」

   

亮の就職は取り消しになった。

亮の父は自動車保険に入っていたが、自分名義で、亮には適用できなかった。

亮の家族は、家を売った。

母は泣き続け、父は頭を抱えた。

何もなくなった。

  

空っぽになった亮は、歩道橋をただただ歩いていた。
向かいから一人、誰か来る。大学の同期だ。

「亮。俺んちの親父の所で働け。死に物狂いで働け。」
「お前・・・ありがとう」
亮は泣き崩れた。

軽い気持ちだった。
好きな女の子にいい所を見せたいだけだった。
運転も基本はできていた。
一瞬の気の緩みが、亮の全てを、一人の命を、無関係なはずの幸せな家庭の未来を、奪った。

取り返しはつかない。

 
 

ほらね!!

交通事故のドラマや作り話っていっぱいありますよね。モノによっては、他人事だと思って「泣ける〜感動〜」とか言っちゃうことだってありますよね。
でも、そうじゃない。

自動車やバイクを運転するということは、楽しいことでしょう。便利なことでしょう。
その反面、危険なことだってたくさんあることを忘れてはいけません。

ご精読ありがとうございました。

取材協力:日の丸自動車学校