トライアルの記事はアクセスがのびないんだよなぁ〜 (^_^;)

とっても個人的にロレンスでしばしばトライアルを取り上げてきた。正直言ってあまり人気がない分野なのはわかっている。編集部でトライアルをやるのはほぼ私だけだし、一般的にみてもトライアルはバイク乗りにとってマイナーなのはいなめない。トライアルの記事を書いてもアクセス延びないしなぁ〜 (^_^;)

私自身、若い頃にバイクに魅了されて、みなさんと同じようにバイク乗りになった。いまはこんな風にいっぱしのメディアで記事を書いたりしてるけど、バイクジャーナリストではないし専門家でもない。ただ、これまでに様々なバイクに乗ってきたことがバイクライフの経験になっているし、モトクロスやエンデューロといったモーターサイクルスポーツも楽しんできた。ロードレースも少しはたしなんでいる。

軽快で自由自在に走ることができるトライアルバイク。

ライディングスタイルも楽しみ方も自由でいいのだ。

「トライアルギャング」という新しいバイクライフ提案をしちゃうぞ!

そんな私にとっても、トライアルはマイナーであり続けた。それがちょっとした機会があり、実にバイク歴30年にして初めてトライアルをやるようになる。以前の記事にも書いたが、これはちょっと衝撃的ともいうべき体験で、私はそれ以来すっかりトライアルに夢中になってしまった。そして、それは 「トライアルギャング」 という私にとって全く新しいバイクライフとなっていったのだ。

機能美が追求されたトライアルマシンたち。

きわめて特殊でとても美しいトライアルマシン

トライアルバイクはかなり特殊なマシンだ。基本的に立って乗ることを想定しているのでシートがないものも多い。低速で走ることが多いので、ミッションは普通のバイクのローギアが3速あたりに相当する。そしてバイクの中ではもっとも軽く、もっともスリムだ。競技に特化した設計になっているけど、ほとんどのトライアルバイクはモトクロッサーと違い、ナンバーをとって公道を走ることもできる。その姿はある目的に特化した道具の多くがそうであるように、バイクとしては奇異な造形ではあるけど、それは美しさに昇華していると思う。

みんなに見守られながら難しいルートにチャレンジする寺内さんはトライアル歴1年ちょいだ。

赤と青のセクションマーカーがあるだけでとたんに緊張感が増すセクションアタック。

トライアル競技はやはり地味すぎるか…

トライアルは自然の地形を利用したセクション(人工セクションも多いけど)と呼ばれるルートを、いかに足をつかずに走れるかを競うスポーツだ。MotoGPに代表されるスピード競技と比較すると、これが地味でマイナーな印象を与えているのかもしれない。岩や樹々の間を慎重にゆっくり走っている様子は、確かにサーキットで最大速度を競うレースに較べるといかにも地味すぎる。

ヒューム管を乗り越える石原さん。

思わず笑みがこぼれるテッドさん。

バイクを乗りこなす基礎的なテクニックとは

私もそうした印象を持っていたのだが、これを自分でやってみると、驚くほど高度なテクニックが必要なことに気がつかされることとなる。オフロードスポーツはモトクロスなどをそこそこやってきたので、それなりに自信はあったのだが、トライアルをやってみて、これまでいかにいい加減にマシンを扱っていたのかを思い知らされたのだ。

セッちゃんはバイクの免許をとって1年ちょい。すでに2回のイーハトーヴ大会を経験している。

バイクでゆっくり走るのはとても難しいのだ

バイクはある程度のスピードで走ることで安定するようにできている。言いかえれば、スピードがでていればバイクが勝手に走ってくれるのだ。トライアルはバイクが自律して安定できない速度域で走ることが多い。つまりライダーがコントロールしないとバランスをくずして簡単に倒れてしまう。2輪という不安定な乗り物を乗りこなすための、きわめて基礎的なテクニックを求められるのだ。

美しい森の中がライディングフィールドだ。

マシンも最新式からいわゆる旧車まで様々だ。マシンよりもテクニックが大切ってこと。

“地味なテクニック”を磨くことがこんなに楽しい

いやいや、そんな“地味なテクニック”がなくてもバイクに乗れますから。その通りです。私はバイクに乗るためのテクニック論を展開するつもりはさらさらない。ただこの“地味なテクニック”はバイクを操るためにはとても奥深く、トライアルでその練習をするのがなにより楽しく面白いのだ。実際にトライアルを始めてみると、ストリートをビッグバイクで走っている時も、安定して乗れるようになったのを実感できるようになるものだ。

歩いて登るのも難しい急な斜面もトライアルバイクなら登ることができるようになる。

軽快なトライアルマシンを自在に操るクロッシー。

トライアルを理解してもらおうとするあまり、ここまで文字数をついやしてしまった。。。辛抱強く読んでくれた方には感謝の気持ちでいっぱいだよ。

トライアルは自由に楽しめるモータースポーツだ

トライアルってマイナースポーツであるがゆえに保守的な側面があるのも否定できない。長年、この素晴らしいスポーツを支えてきた方たちには敬意を感じるが、この面白いスポーツはもっとフリースタイルに楽しめるのではないかと思う。ロードレースやモトクロスのように、クローズドサーキットを必要としないトライアルは、モータースポーツの楽しみ方としてとっても自由なのだ。

トレックランド「イーハトーブの森」ならカフェが併設されているので快適だ。

ホームコースは朝霧高原「イーハトーブの森」

取材撮影したのは、富士山麓の朝霧高原にある「トレックランド イーハトーブの森」。ここは私が初めてトライアルを体験した場所であり、ホームといえるオフロードバイクパークだ。トライアルに限らずトレールバイクで自然の中を自由にトレッキングできる。ここでトライアルの面白さに気づき、自由に走りながら仲間たちと奥の深いテクニックを磨いてきた。

ライディングファッションも自由なのがトライアルギャングスタイル。

自由なスタンスで楽しむ「トライアルギャング」

トライアルはスポーツ競技であるから、それを純粋に追求するのはもちろん王道といえる。でも、ランニングを気軽に楽しむようにスポーツしてもいいのだ。私はそんな自由なスタンスでトライアルを楽しむ彼らを トライアルギャング とよんでいる。これは伝統的なトライアル競技を育んできた方たちにはいぶかしまれるかもしれない。しかし伝統とは常に新しいスタイルを受け入れて進化することで伝統たりえるのだ。

アナーキーにトライアルを楽しんじゃおう

そういう意味で、彼らはトライアルという伝統スポーツを破壊するアナーキストなのかもしれない。あるいは、新しいバイクライフを生み出そうとしているのか。モトクロスからエッジの効いたフリースタイルモトクロスが誕生したように、トライアルが新しいスタイルでバイクの楽しみ方を変えることができるかもしれない。

モトクロスと較べたらゴツいプロテクターは必要ないので、ライディングファッションも自由なものだ。最新のマシンはもちろん高性能だが、安く入手できる古いマシンでも楽しめる。これは今っぽいカスタムバイクカルチャーにみられる、フリーダムなバイクライフにも通じるのではないかな。
どうですか、トライアルも意外とカッコいいでしょ。