大人気映画のワイルド・スピードシリーズ。どの作品も派手なカーレースが繰り広げられますが、レース終盤や見せ場で登場するのが、「ニトロ」。ボタンを押すと、クルマが急加速!まるで戦闘機のミサイル発射ボタンを押すかのようなシーンが良く登場します。
ニトロってニトログリセリン?ではありません。
「ニトロ」と聞くと、爆薬で有名な「ニトログリセリン」が浮かびませんか?私はまだエンジンの仕組みを知らない頃、ニトログリセリンが爆発して何かが起きて車が加速するのかな‥と、ぼんやり思っていた時代があります。もちろん、必殺技の「ニトロ」とはニトログリセリンの爆発ではりません。
亜酸化窒素を使う、ナイトラス・オキサイド・システム。
必殺技「ニトロ」の仕組みは、 亜酸化窒素ガス(N2O)をエンジン内に噴射して、ガソリンの燃焼の促進と同時に冷却を行う というものです。
N2Oには空気と比較して約1.5倍の酸素が含まれていますので、N2Oを噴射することによりガソリンは通常よりも強い燃焼を起こします。と同時に、液化されたN2Oは気化する際に周囲の熱を奪います。これにより空気中の酸素の密度が高くなり、燃焼効率が高くなる。という仕組みです。
亜酸化窒素はナイトロオキサイドとも呼ばれますが、「nitro」は「ニトロ」とも「ナイトロ」とも呼ばれますので、「ニトロ」と呼ばれているのでしょう。
ちなみにN2Oは非可燃性で爆発性はありません。映画で爆発しているように見えるのは、あくまでガソリンが爆発的に燃焼しているだけです。
NOSにはドライショット、ウェットショット、ダイレクトショットなどの様々な噴射方法がありますが、エンジンの燃焼部位に直接噴射するダイレクトショットがもっともパワーがあります。
NOSとターボを組み合わせると‥。「なんだあれは」という感じで駆け寄り、呆然と立ちすくむ周囲の人々。
もちろん、NOSはバイクにも搭載出来ます。
白い煙がシューシュー!これは一体?!
ワイルドスピード2でレース前にブライアン・オコナーのスカイラインのボンネット付近から白い煙のようなものがシューシューと吹き出している様子をご存知でしょうか。印象的な姿ですが、これは「NOSパージ」と呼ばれる現象です。NOSパージバルブを開くと、配管内の圧力が下がり、ボンベとN2Oの噴射口までの配管内の空気を抜いてN2Oを充満させることが出来ます。すると、N2Oがすぐにエンジンに届き、すぐに燃焼促進を行い、加速出来るということですね。
一度はやってみたい、NOSパージ。
フロントから出るとまさに「闘牛の鼻息」という感じがしませんか。個人的にはサイドから出る方が好き。
ちなみにNOSのボンベ、なかなかのお値段がします。取り付け込みで15〜20万円くらいでしょうか。気軽には噴き出せませんが、ここぞという時にはぜひともシューシューしてみたいものですね!