『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティス監督の作品。
代々タイムトラベルの能力を持つ家系に生まれた青年ティムは、最高のガールフレンドをみつけるために幾度となく時代を飛び越えてきた。
彼らの能力は、過去に戻ることと、タイムトラベルをしたその時点に戻ることだ(もちろん過去に戻ったときの行為によって、戻った”現代”はトラベル前とは変わっている)。
タイムトラベラーの能力を持つ親子
冴えない青春時代を過ごしてきた主人公ティムは、21歳を迎えた朝、父親から、家族に代々伝わる”タイムトラベル”の能力を伝えられる。
半信半疑だったティムだったが、すぐにその力が本物であると知る。暗闇で拳を握り、戻りたい過去の様子を思い起こすだけで過去にいけるのだ。
タイムトラベルの力で首尾よく愛を勝ち取るティム
ティムはタイムトラベルの能力を使いこなし、最愛の彼女を得る。
失敗したら、また過去に戻ればいいのだ。人生においてどんな場合でもリハーサルを繰り返せるなら、そうそう失敗はしない。
もちろん過去を変えたせいで、悪いこともよくできる反対に、首尾よくいった良い結末をひっくり返してしまうこともある。しかし、それさえもやりなおしができる、ということである。
ラブストーリーと思いきや、父親と息子の関係の物語・・
上々の人生を歩むティムだったが、不意に訪れたのは、常に自分を支え、愛してくれた父親の病気の知らせだった。突然の悲劇に落ち込むティムだったが、父親は気丈に振る舞う。父親もまた、息子を気遣って、ティムを前にして明るく振る舞う”リハーサル”を繰り返していたのだった。
父親を失いたくないティムに、できることはあるのだろうか。
過去に戻れるという力で、人生を最上のものにすることは本当にできるのだろうか。
人生はやり直しがきかない。それが通常だ。
ティム親子は何度でもやり直しができた。しかし、そんな彼らでもやり直せない過去がある。そんなときに、彼らが取る道とは??
本作は、ラブストーリーであるが、それ以上に、固く結びついた父と子のストーリーである。
僕には残念なことに、これまでに一度も感じたことがない、与えてもらったこともない、父親との結びつき。感動したというよりも、羨ましさを感じる映画であった。
時を飛び越える力以上に、理想の父と子の関係を得ることは難しい。そんなことを思った一作だった・・・。
父親との良い関係を維持している人は、きっと涙するだろう。そうでない人は僕と同じように羨ましさに心を震わすだろう。
どちらの気分となるか。ぜひ本作を観て 確かめてほしい。