こどもの頃の夢は大工になることだった。

これは私のこどもの頃の夢だけど、こども心に家族の団らんを囲む、家を作る人になりたいと考えたのだと思う。誰しもこどもの頃があるのだが、おとなになるとこどもの時の気持ちを思い出せなくなるものだ。「夢」とは何か、という大命題はとりあえず考えるのをおいたとして、人は夢と現実に折り合いをつけて、おとなになってゆくのだろう。

大工になりたいというのは、夢としてはあまりにも現実的だったかもしれない。ただ、宇宙飛行士になりたいとか、総理大臣になりたいとかっていう、こどもだった頃のたわい無い夢は、おとなになってゆくにつれ現実の厳しさに夢散してゆく。

「こどもの気持ちを忘れない」とは、おとなの遊びでよくいわれるフレーズだ。バイクに乗るというのは、その代表的な遊びのひとつといえる。私の周りのバイク乗りたちも、すでにいいおとながほとんどだけど、ことバイクのこととなると少年のように目を輝かす男が少なくない。

いいおとなを夢中にさせるバイクとは、そんな忘れてしまった夢や気持ちを、どこか思い出させてくれるタイムマシンのような効力があるのだろうか。すっかりいいおとなになってしまった私も、この映像の中の少年のように「へんな生き物」だったなぁと思い出した。いまはバイク乗りという「へんな生き物」として、希薄になってしまった夢を、大事にかかえて走っているのかもしれない。

早稲アカブランドムービー「へんな生き物」篇

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