車好き、それもチューンドカー好きなら、絶対外せない名車。
それがGT-R。

その中でももっとも思い入れが深いのが、このBNR32(以下32R)ではないでしょうか??

みんな大好き『湾岸ミッドナイト』では、70年代のスポーツカーである日産フェアレディZ(S30Z)を3リッターにボアアップしたのちにツインターボ化することで、600馬力オーバーの怪物マシンにしていました。そのあまりに不自然な速さで悪魔のZと呼ばれるようになります。この悪魔のZのライバルとして、様々な車が登場しますが、ベスト3と言えるのはポルシェ911ターボ、マツダRX7、そしてこのGT-Rです。
(悪魔のZをもっとも追い詰めたのは実は33Rですが、それはおいておきますw)

この32Rが登場したのは1989年。

当時はバブルの勢いがまだ残っていて、オートバイも車もチューンされた車両が街中をたくさん走っていました。その中でもこの32Rはキングと言える存在でしたね。
日本の車が、明らかに海外のスーパーカー勢より速くなった、そういう感覚をはっきりと周知させたのが、この32Rの登場だったと思います。ちょっとCPUをいじれば500馬力を出せる。フルチューンすれば1000馬力も夢ではなく、しかも簡単には壊れない。こんなすごい機械を日本メーカーは作ったんだ、という思いがしましたね。日本万歳、最強!と胸を晴れる時代が32Rと共にやってきたのです。

日産スカイラインGT-R BNR32

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1989年5月 16年ぶりにGT-R(BNR32型)が復活した。
かつてのGT-Rは自然吸気の1998cc直列6気筒4バルブDOHCエンジン(S20型)を搭載する後輪駆動(FR)であったが、R32型GT-Rでは、2568cc直列6気筒4バルブDOHCエンジンに2基のセラミックス製ツインターボ(RB26DETT型:280ps/6800rpm、36.0kgm/4400rpm)を搭載し、FRをベースとしつつも、高度な電子制御によって4輪に自在に駆動力を配分できる4輪駆動システム(アテーサE-TS)を搭載する4輪駆動車となった。
その結果、内に秘めたポテンシャルではイタリアの著名なスポーツカーを上回ると絶賛され、国内外のレースを席巻する事となる。
1990年全日本ツーリングカー選手権(JTC)に参戦したGT-R(グループA仕様)は、全戦ポールポジション獲得・優勝。翌年度より徐々に参戦車数も増え、当時「GT-Rに勝つにはGT-Rでなければ勝てない」と言われ、最終シーズンである1993年には7台のGT-Rが参戦することとなる。JTCシリーズ終了まで通算29連勝を飾った。また、N1耐久シリーズにもGT-Rで参戦。通算60勝を上げる。

古さを隠せないのに妖しい魅力は健在

中古市場を見てみましょう。
一流中古車情報メディアのカーセンサーによると2015年6月現在で、ざっくり300 - 400万円ですかね。
安い車両ならば、100-150万円でも買えそうですが、そもそもかなり飛ばし屋さんが乗っていた可能性があるし、事故車もわりと多そうです。ノーマルで乗っていた車両も少ないだろうし、かなり慎重に選ばないとあとで後悔しそうなクルマなんですよね、32R。実際、初登場から25年近くなっているし。

いまみると、ちょっと古いスタイリングです。逆にハコスカくらい遡ってしまうとレトロな感じがしていいのですが、32Rだとかえって古さを感じるような気がします。
これが33Rだと、まだいまのクルマ、って感じがあるのですが。

これが33R。フロントマスクも尻も若さがありますよね

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しかし、それでも32Rが持つ、妖しい雰囲気は捨てがたいかな。
いまの35R、現行のGT-Rだと、一切改造しちゃいけません、改造したらメーカー保証も一切ないから、下取り価格はグンっと下がってしまいますよという圧迫が、全面に出ています。まあ、改造する必要もなく速いからいいんですが、32Rだと、どう?ちょっといじるだけで俺、めちゃ速くなるよ??やってみない?やってみたいでしょ??と言わんばかりの誘惑があるんですね。

いまとなっては若干不恰好になった32R、なのにいまだに放たれる妖しく蠱惑的な雰囲気に、身も心も浸ってみたい、そう思う人は多いと思うのです。