目に見えない香りのチカラ
匂い、臭い、香り、薫り。
手にとって掴むことはおろか、目で見ることもできないものながら、実は私たちの日々の人間関係に強い影響を与えているもの。それが匂いです。
私たちは、自分自身では、自分のカラダからどのような匂いが出ているかをなかなか知ることができませんが、積極的に「香り」として匂いを演出することはしています。
香水(パフュームだけでなく、コロンやオードトワレも含んでいます)を使うことはもちろんですし、ヘアフレグランスやボディークリームなど、さまざまな手段を使って、自分の好きな香りを身にまとっています。
好きな異性がつけている香りを特別な匂いとして記憶したり、逆に不快な匂いと感じたために、理由なく誰かを遠ざけてしまった、という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
不安なときにカラダから出る香り
どこで読んだものかは忘れてしまったのですが、自分たちを狙っているライオンの存在を感じ取ったシマウマは、不安・恐怖を感じた時に、無意識にある種のフェロモンというか特別な体臭を発するそうです。もちろんこれはシマウマに限ったことではなく、動物全般に言えるのだと思いますが、心理状態に応じて体臭の質が変化するということだと思います。
そして、このライオンを見つけたシマウマが発した体臭は、特別な臭いがするので、他のシマウマもすぐに異変に気づきます。不安と恐怖によって発せられた臭いなので、逆に言えば不安を感じさせる臭いなのです。
こうして一頭のシマウマが敵を発見すると、鳴き声を発するまでもなく、群れ全体に”不安”を伝え、異変が起きつつあることを警告できるのです。
匂いは無意識に人間関係にも影響している
前述したように、誰かを好きになったり、不快な気分になったりすることにも、匂いというものは何気に大きな影響力を持っている気がします。
だからこそ、香水市場は非常に大きな市場になっているわけです。
(2012年の国内フレグランス市場規模はフレグランス市場 336億円)
人間も動物ですから、同じ機能が備わっていても当然と思います。動物の場合は防衛本能と結びつく良い結果を生んでいますが、私たち人間の場合はどうでしょうか。
ストレスを溜めやすい人は、やはりストレスを感じさせるような匂いをカラダから発しているかもしれません。そして、シマウマたちが不安を感じさせる臭いに怯えるように、ストレスを感じさせる匂いを発する人は、周囲の人にストレスを感じさせるような気分を伝染してしまっているかもしれません。
悲しい気分になれば悲しい匂いが、人を妬んだり憎んでいる人からは怨嗟の匂いがしているのかもしれません。
つまり、無意識のそういう匂いがかえって私たちの周りの人の気分を暗くさせ、結果として悪い方向に人間関係を導いているとすれば?
シマウマと違って、私たち人間はその場をすぐに逃げ出す、というわけにはいきません。
その意味で、私たちは、自分たちが抑えていられると自信をもっているような場合でも、無意識に感情が匂いとして周囲に影響を与えているかもしれないということを理解しておくべきかもしれません。
抑えるのではなく、できるだけ楽しいことを考え、コントロールすることが重要かもしれませんし、逆に自分自身が楽しくハッピーな気分になれる香りを探して、それを身につけることで自分の”匂い”を積極的に変えていく、ということも大事なように思います。