モーターサイクルが好きな芸能人って、結構いらっしゃいますよね。私も長年モーターサイクル専門誌の仕事をしているので、今まで何人ものそういう方とお会いしたことがあります(プチ自慢?)。

モーターサイクルがどれだけ好きか? とかいうことを競うことは不毛です。そしてクダラナイです。どれだけ好きかなんて、その人の自己満足に過ぎないことですからね・・・。でも、そういう議論を抜きにして、この人は本当にモーターサイクルが好きなんだな・・・と思わしめる方もいらっしゃいます。

スターである前に、ひとりのモーターサイクリストとして

あまりにも有名な代表作「大脱走」のワンシーン。迫力のバイクスタントは、伝説になっています。

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さすが(笑)の私も、お会いしたことないですが、スティーブ・マックィーンは、ひとりのモーターサイクリストとして尊敬の念を禁じ得ません。1950年代から1970年代にかけて、映画俳優として活躍した氏は、モーターサイクリストとして様々なモータースポーツに参加して、スクリーン上同様に大活躍をした人物です。

「ON ANY SUNDAY 栄光のライダー」のオフショット。左からマート・ローウィル、マックィーン、ひとり飛んでマルコム・スミス。

www.brucebrownfilms.com

「栄光のル・マン」では、実際に自身もハンドルを握ったエピソードが有名ですが、1970年セブリング12時間で総合2位(クラス優勝)したように、彼は本当に速いレーサーでした。モーターサイクリストとして、1964年はISDT(国際6日間トライアル)に参加。1961年には英国ツーリングカー選手権に出場。いずれも優れた成績を残しています。

トライアンフTR6トロフィーで、ISDTに参加したときのマックィーン。

i.telegraph.co.uk

ふたりのマックィーン・・・

ムービースターであるゆえ、マックィーンがモータースポーツに熱心に参加することを、映画会社は嫌っていたという逸話が残っています。それはそうですね・・・。ドル箱スターが危険なモータースポーツで万が一ケガをしたら・・・映画業界的には大損ですから。

そんなしがらみを嫌った彼は、「ハーベイ・マッシュマン」という偽名でレースに参加したりしました。大スターのマックィーンの「アバター=化身」としてのマッシュマン・・・どちらがより本人の実像に近かったのかは、今は想像するしかありません。

デザートスレッド(砂漠のソリ)として、多くのアメリカ人に愛されたトライアンフツイン。その車上で笑みを浮かべるマックィーン。

i.huffpost.com

日本のモーターサイクリストには、1950年代前半から久しく2ストローク車を作っていなかったホンダが、オフロードはやっぱり2ストロークじゃないと・・・という理由から手掛けたCR250エルシノアのCMでの勇姿が、最もポピュラーなマックィーンの姿でしょう。

じつはたまたまホンダのテストの場に来ていたマックィーンが、エルシノアに試乗して気に入ったことからCM起用につながったそうです。これも有名なエピソードですね。

Carjam: Are You As Cool as McQueen? Honda CR250M Commercial

youtu.be

じつは昔、「五体満足にも関わらずモーターサイクルに乗らない人が、マックィーンファンを自称するのはある意味陳腐だ。なぜなら・・・」みたいな内容の原稿を某誌に寄稿したのですが、それ以来その雑誌からは一切仕事の依頼をいただいておりません(苦笑)。誤解を招く表現ではあったと思いますが、ひとりのモーターサイクリストとして、その想いには今も一切変わりありません。