オフロードバイクで道無き道を走ることが好きな方なら、1、2回は思ったことがあるはずです。「ああ、このバイクが2輪駆動だったら」・・・と。タイヤのグリップが確保しにくい悪路や急斜面で、後輪だけでなく前輪もエンジンで駆動されていたら、クルマの2駆と4駆を例に出すまでなく、登坂力や走破力が向上することは予想がつきますね。

古くからある2輪駆動というアイデア

2輪駆動=AWD(オールホイールドライブ)というアイデアは、やはり昔から多くの人が考えていました。もっとも有名な存在といえば、1950年代から開発され、1960年代から販売されている米国のローコンでしょう。

出典:http://www.plowsunlimited.com/archive/

そのほかでは1990年代に開発されたサベージ2x2、日本のドリーム・トキ、そして2005年にはオーリンズとヤマハのプロジェクト、油圧前輪駆動の「2-TRAC」なんてのも記憶に新しいです。

出典:http://i39.tinypic.com/2dim0p2.jpg、

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出典:http://bmwdog.com/Gore-Rex-2wD-

これぞ、2輪駆動の決定版!?

一番最初に載せたイラスト・・・これは今現在市販されているモデルである、米国「クリスティーニ」のAWDシステムの概要を表しています。実際に市販されている・・・しかも公道モデルまで! というところがスゴイですね(写真は2013年型450デュアルスポーツ)。


出典:http://pictures.topspeed.com/IMG/crop/

同社のAWDシステムの特徴は、そのほかのAWD車に比べ見た目がシンプルで仰々しくないところです。そもそもは1995年に自転車(MTB)の2輪駆動として開発がスタート。2001年に自転車版は市販されましたが、その翌年からモーターサイクル版の開発に着手しています。2輪のAWDシステムはどうしても重量がかさんでしまうという欠点がありますが、自転車に比べると動力源のパワーが段違いのモーターサイクルは重量増のネガティヴ要素が隠れるので、クリスティーニAWDにより適した題材と言えました。


まず駆動力の源は、後輪を駆動するドライブスプロケットからチェーンで上向きに取り出されます。


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フレームを貫通した内側にはベベルギアシャフトがあり、駆動力はステアリングヘッドパイプへ導かれます。


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ステアリングヘッドパイプ内にはこのようなベベルギアの組み合わせになっており、ヘッドパイプの中心部でシャフトが回転する向きに駆動が変換されます。


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そしてボトムクランプ下にはスプロケット3つとチェーン2本が組み合わせになっており、2本のシャフトを駆動します。


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フロント・テレスコピックフォークと並行に走る2本の駆動シャフトは、フォークの動きにあわせスライドできるようになっています。


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そして前輪のハブ内にはベベルギアが組み合わされており、フロントタイヤを駆動させます。またワンウェイクラッチが組み込まれているので、下り坂などでの前輪・後輪の回転速度差などの問題はありません。


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2007年からデリバリーされたクリスティーニ製AWD車は、オフロード業界にセンセーションを与えました。2010年にはその走破力の高さが米軍テストで評価され、2011年から陸軍に採用されています。

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アリーナエンデューロや世界エンデューロ選手権など、クリスティーニAWDは競技への参加も熱心に行っています。しかし、このシステムの恩恵を最もありがたく感じられるのは、上手いオフロードライダーよりも私たちのようなアベレージライダー、またはオフロード初心者だと思いますね・・・。その例に漏れない私も、ぜひクリスティーニAWDに乗ってみたい!と思ってます。

出典:motosyn


最後にオマケ?として、2013年に米国人のビルとマーティのローソン親子が作った「ローソンAWD」も紹介します。方式としては駆動伝達はすべてチェーン、フロントエンドはステアリング機構とサスペンション機構を切り離したオルタナティブタイプですね。2駆モーターサイクルがもっとポピュラーになると、オフロードの楽しみ方も面白い方向に変わってくるかもしれませんね。

出典:dirtridermagazine