フロント2輪+リア1輪というLMWテクノロジー (※) のハンドリングの魅力はどこにあるのか?
本企画の第2回では"走り"の感動性能を司るハンドリングに注目してみました。
※: LMW=Leaning Multi Wheel (リーニング・マルチ・ホイール) テクノロジー。モーターサイクルのようにリーン(傾斜)して旋回する3輪以上の車両に搭載される技術。
脈々と受け継がれる"ハンドリングのヤマハ"・・・の伝統
私(宮崎)は2輪専門誌の仕事をしてきた25年の間、第1号車であるYA-1(2ストローク単気筒125cc)から最新モデルまで、多くのヤマハの名車に試乗する機会に恵まれました。それぞれの機種から受ける印象は当然毎回異なりますが、共通して想うことがひとつあります。それは"ハンドリングの良さ "です。

ヤマハスポーツのハンドリングは、全てに通じて”気持ち良さ”があります。

ヤマハスポーツのハンドリングは、全てに通じて”気持ち良さ”があります。

ヤマハスポーツのハンドリングは、全てに通じて”気持ち良さ”があります。

ヤマハスポーツのハンドリングは、全てに通じて”気持ち良さ”があります。

ヤマハスポーツのハンドリングは、全てに通じて”気持ち良さ”があります。
"ハンドリングのヤマハ"という言葉を、2輪専門誌などの記述で見たことがある方は多いと思います。時代ごとに開発に携わった技術者は変われど、創業以来ヤマハは乗り手の意思に忠実で、感動を生み出すハンドリングを与えることを伝統としてきました。"ハンドリングのヤマハ"という言葉は、スローガンのように掲げられていたわけではありません。
先輩の技術者から薫陶を受けた後輩の技術者たちが、ハンドリングの大事さを自然と墨守していった結果、伝統として定着することになった概念と言えるでしょう。

1959年のYDS-1。スポーツの名を冠した初のヤマハ製 2ストローク並列2気筒車で、第2回浅間火山レースに参戦したYDレーサーを経て誕生。国産車初の5段変速機を装備。レース用キットパーツも豊富に用意され、オン・オフを問わずさまざまなカテゴリーで活躍しました。
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1973年のTX500は、ヤマハの市販モーターサイクルで初となる 4ストローク並列 2気筒DOHC4エンジンを搭載。高回転までスムーズに吹け上がるスポーティなエンジン特性と、意のままに操れる軽快なハンドリングにより、従来のヤマハスポーツのハンドリングは、全てに通じて”気持ち良さ”があります。4ストローク車とは一線を画す走りっぷりの良さを特徴としています。
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1980年のRZ250は、高出力の水冷 2ストローク並列2気筒エンジン、ダブルクレードルフレーム、モノクロスサスペンション、軽量キャストホイールなどを採用したピュアスポーツ。2ストロークエンジンならではの魅力を多くのファンに再認識させ、後の"レーサーレプリカ"ブームの先駆けとなったモデルです。
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1986年にエディ・ローソンのライディングでデイトナ200マイルを制覇した、FZ750(0U45)。ベースとなったのは1985年デビューのFZ750。エンジン性能向上と車体の操縦性・安定性向上を相乗的に追求する、ヤマハ独自の設計思想である「ジェネシス」に基づいて生まれたFZ750は、ヤマハ4ストロークモデルを飛躍的に進化させる契機となりました。
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1998年のYZF-R1は、ワインディングロードにおける「最高のエキサイトメント」を追求して生まれたモデル。新開発の軽量・コンパクトな1,000cc・並列4気筒エンジンを、ショートホイールベース設定、ロングリアアーム採用の新設計デルタボックスIIフレームに搭載。近代1,000ccスーパースポーツのベンチマークとなった 1台です。
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2010年シーズンのMotoGPを戦ったYZR-M1(0WS9)。車体、エンジン、エンジンマネジメントシステムに重点をおいた熟成を開発の基本とするとともに、エンジンの使用数量制限に対応したパワーと耐久性向上の両立のために1シーズンの間に3段階で進化。ヤマハに3年連続となる三冠獲得をもたらしました。
global.yamaha-motor.com"良いハンドリング"は、数字で定量化するのが難しい概念です。直進安定性、ステア特性、コーナリング性能、乗り心地・・・さまざまな要素を含めて、ハンドリングというものは最終的に人の感性で評価されるものです。そして人の評価は、人それぞれの考えに由来するものです。
私の想うヤマハのハンドリングの良さは、感性に訴えかける"感動性能"です。1959年のYDS-1も、1985年のTZR250も、1998年のYZF-R1も、いずれも走り出してすぐに感じたのは「意のままに操れる自由感」でした。操舵・荷重入力をすれば、思い描いたイメージ通りに前輪と後輪がコーナリングのラインをトレースする。思い通りにコーナーを抜けられることは、速く走れることに結びつきますが、乗り手が気持ち良くコーナーを堪能できることに、歴代ヤマハ車は一番重きを置いているように感じられます。
MotoGP由来のノウハウが結実して生み出された LMWテクノロジー
2014年登場したトリシティ。このフロント2輪+リア1輪を持つトリシティのハンドリングを熟成させたのは、入社以来・・・WGP500ccクラスのワークスマシン「YZR500」や、MotoGPマシン「YZR-M1」などの開発を歴任し、車体開発責任者も務めた高野和久さんでした。市販車の開発はこれが初でしたが、「機構開発をさせたらピカイチ」と周囲から評される手腕を発揮し、試作初期の段階からトリシティの乗り味は良かったとのことです。

高野和久 氏
ヤマハ発動機株式会社 PF 車両ユニット PF 車両開発統括部 LMW 開発部 グループリーダー。入社以来レーサーの開発を専門に担当。OWと名のつくファクトリーレーサーの開発を歴任し、担当機種は実に36機種。
スクーターのようなコミューターモデルに分類されるトリシティですが、ブレーキの設計指針、重心を車両の中心とした前後重量配分50:50などは、2輪最高峰レースの分野で培ったノウハウが反映されています。そして、新しい挑戦として開発されたのがトリシティ独自の「LMWテクノロジー」です。これは、“パラレログラムリンク”と“片持ちテレスコピックサスペンション”の、互いの動きと配置をマッチさせ完成させたものです。

“パラレログラムリンク”は並行四辺形が動くイメージで作動し、旋回時にフロント2輪が車体と同調して傾くときの要のメカニズム。走行中の左右車輪幅(トレッド幅)変化が少ないことから、ハンドリングの軽快感と安定感に貢献します。一方、サスペンション(懸架装置)については、その伸縮長、乗り手の感性とのフィット感、バンク角、ハンドルのきれ具合などを配慮し、“片持ちテレスコピックサスペンション”を選択しています。
global.yamaha-motor.com「YZR-M1などのファクトリー・ロードレーサーも含めて、乗り物で一番大事なのは『安定して走れること』なんです。安定性がしっかりあって、初めて運動性能を追求できるのです。ライダーの予測を裏切らない走りをすること。これが一番大切なんです」。
この高野氏の言葉のとおり、私も実際にトリシティに乗ってみて、その高い安定性を背景に、思い描いた通りに走ることが出来る「意のままに操れる自由感」を堪能することが出来ました。
走ってみて特徴と言えるのは、コーナリングの際、入力に対して前輪からバイク自身が違和感なく傾き始めて曲がってくれる、という印象です。パワーで乗るバイクではなく軽さとしなやかさで乗るバイクであるという認識が生まれ、徐々にトリシティの走りの楽しさがわかってくるのです。まさしく、このトリシティも多くのヤマハ製モーターサイクル同様、ハンドリングの良さをあらゆるステージで満喫できます。
また、トリシティの左ブレーキは後輪だけでなく前輪に対しても制動する前後連動型のブレーキであり、その動きを理解するにつれ、便利さがわかります。信号での停止などでは、左ブレーキだけで十分停まるし、少しぐらい強く握っても挙動は乱れません。
逆に右ブレーキは積極的に前輪に加重をしたいときだけ使う、と徹底すれば、安定しつつも速いコーナリングが可能になってくると思いました。

トリシティの、フロントの大きなグリップ力は乗り手に大きな安心感をもたらします。
フロント2輪が特徴のトリシティが、堂々と登場。カーブで傾く生き物のようなホイールの動き。その技術を動画で解説。
老若何男女問わず、誰もが"ハンドリングのヤマハ"のライディングプレジャーを楽しめるトリシティ125・・・百聞は一見に如かず・・・もとい、一乗に如かず?
あなたの感性で、トリシティに受け継がれた"ハンドリングのヤマハ"のDNAを体感していただきたいです。
連載第一回はこちら:
連載第三回はこちら:
本企画は、全4回にわたって、LMWの過去から未来についての興味深いトピックをお届けします。毎週 水曜日更新 の予定です。ご期待ください。




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