あらすじ
本作は2013年に公開されたスーパーマン映画『マン・オブ・スティール』の続編、の形になっている。
同作で、スーパーマンは宇宙からやってきた敵と戦うが、その戦いのために多くの人間が犠牲になった。
スーパーマンは正義を守るヒーローとして多くの人を救うが、スーパーマンの戦いに巻き込まれて命を落とした家族や友人がいる者の中には、スーパーマンがいつか豹変し、人類の脅威となるのではないかという疑いを捨てきれずにいた。
ゴッサムシティの大富豪、ブルース・ウェイン=バットマンもその一人だった。
逆に、悪人を無慈悲に痛めつけていくバットマンのやり方を、私刑(リンチ)であると考えるスーパーマン=クラーク・ケントもまた、バットマンを正すべき悪の一つなのではないかと考えていた。
両者の疑念は徐々に膨らんでいき、やがて両者は真紅と漆黒のマントを翻し、死闘へと向かうのであった。
ヒーロたちが集結する明日への布石=Dawn(夜明け)
本作は冒頭で述べたように、DCコミック版『アベンジャーズ』であり、続編やスピンオフが今後製作されていく見通しだ。
バットマンとスーパーマンという激突であれば、人間であるバットマンと、ミサイルでも倒せない、文字通りの超人(スーパーマン)が戦えば、普通はどちらが勝つかは赤ん坊でもわかりそうなものだが、それを言ってしまえば『アベンジャーズ』のヒーローたちの力関係のほうが無茶振りが多い。そうした荒唐無稽の彼岸でもって楽しまなければならない類の映画であるし、本作ではバットマンがスーパーマンとの戦いへの備えは、実は完璧であり、なるほどね、と思わせてくれる流れにはなっている。
また、予告編を見ていると、スーパーマンが悪に染まってしまっているかのように見えるが、もちろんそうではない。二人のヒーローが戦う裏には、人間たちの悪意がある。その象徴というか、彼らを戦わせて、漁夫の利を得ようという企みをする黒幕としてとびきりの演技を見せてくれるのが、『ソーシャルネットワーク』でマーク・ザッカーバーグを演じてブレイクしたジェシー・アイゼンバーグ。彼はスーパーマン映画の仇敵と言えるレックス・ルーサー役で、マシンガンのような早口で捲したてる魅力的なヒールを演じている。
このレックスの奸計によって、バットマンとスーパーマンは戦う羽目に陥る。そこに謎の美女が絡むのだが、彼女が実はアマゾネスの王女で超人的な能力を持つ、ワンダーウーマンである、という流れだ。
つまりバットマンとスーパーマン、そしてワンダーウーマンという主役級のヒーローたちが集結することになるが、彼らが協力しなければ対抗できないような脅威が生まれてくることで、アベンジャーズさながらのヒーロー軍団(ジャスティス・リーグ、という)が結成される予兆が現れてくるのだ。
観に行って後悔は絶対しない!
本作は『マン・オブ・スティール』や『ダークナイト』シリーズの、比較的暗く暗鬱なトーンを継承している。『アベンジャーズ』シリーズは、アイアンマン=トニー・スタークのいい加減で陽気な軽口のおかけで、全体的には重苦しい展開が多い物語ながら、明るさがあるが、本作では(本来、影が全くなさげな)スーパーマンも常に憂鬱そうな表情だし、ブルース・ウェインは声を出して笑うことなどおよそなさそうなキャラのままだ。
だが、シリアスなトーンが好きな僕としては問題ない。若干能天気な衣装であるスーパーマンとワンダーウーマンに加えて、いつもはスタイリッシュなはずのバットマンもごつくてファットなコスチュームで、間が抜けているのだが、重いトーンのおかげで画面は非常に引き締まっている。
物語としては前述のとおり、これからの展開の”きっかけ”に過ぎない状態なので、この映画を傑作であると言い切れるまではいかないが、観ても絶対後悔しない大作ムービーであることは間違いない。
少なくともバットマンファンの僕としては、バットマンならではのリアルアクションも多かったことに満足しているし、意外なほどにワンダーウーマンがセクシーであったことにも満足だ。