ラリーを題材にした珍しいコミック
戦場やレースをテーマに漫画を書いたら超一級の漫画家 新谷かおる先生。
バイクでも『ふたり鷹』では耐久レースに焦点を当てていました。
今日ご紹介するのは、ラリーをテーマにした作品『ガッテム』です。
ラリーって、F1を始めとする一般的な車のレースと比べて、分かりづらいですよね。一番先にゴールした者が勝つわけでもなく、できるだけ速く走らなければならない区間と、決められた時間通りに走らないといけない(+/-でのオーバー時間に応じてペナルティがつく)、なんか日本人には向いてそうな区間があったりと、単純明快じゃないんですわ、これが。
また、未舗装のコースを走破する点では同じでも、有名なパリダカことパリ・ダカール・ラリーのようにスタート地点とゴール地点が違うレースは、ラリーレイドと呼ばれるそうで、ラリーとは区別されるべきなんだそうですl
WRC(世界ラリー選手権 =World Rally Championship)ではスタート地点とゴール地点が同じ。これがラリーの条件だそうです。
つまり、ラリーもラリーレイドも
・指定されたコースを一定の条件のもとで長時間走るレース
・ドライバーナビゲーターもしくはコ・ドライバーの2名1組が競技車両に同乗
・公道上を1台ずつ走行して、区間タイムの速さや運転の正確性を競う。
ここまでは同じなんだけど、スタート地点に戻ってくることでゴールする、というのが本当のラリー、ということなんですねえ。というのも、そもそもラリーとはRally(再び集まる)という意味なのだそうです。知ってました??
ちなみにサーキットのレースだと、自動車運転免許は必要ないのですが、ラリーは公道を走るので免許は絶対にいるんだそうです。なるほどねえ。
ラリーに人生を重ね合わせた佳作
本作では若きラリードライバーの轟 源(ゲン)が、ロブというナビゲーターをパートナーとして、日本の中小自動車メーカーのラリーチームのレーサーとして活躍するお話であり、ゲンを始めとするさまざまな登場人物たちが、それぞれの想いや生き方、複雑な過去を重ね合わせながら、人生というラリーを走り抜けていくという物語です。
『バリバリ伝説』のような一直線に目的に向けて走り抜けるスプリントレースもエキサイティングですが、耐久やラリーのように複雑で入り組んだ駆け引きと根くらべを題材にする作品もまた、心に深く残るものです。
ラリーのお勉強かたわら、ぜひこの作品を手に取ってみてください。とっても面白いですよ。