あらすじ
伝説的なCIA捜査官エヴァン・レイク。現在は現場を離れ、いまはデスクワークに着いているが、22年 前に拉致されて、テロリストのリーダーであるバニールに拷問されたトラウマに、いまだに苦しんでいる。バニールは死んだとされてきたが、エヴァンは彼が生きていると確信していた。
エヴァンは現場復帰を望むものの、認知障害を伴う深刻な脳の病「FTD」に冒されたことを理由に引退勧告されてしまう。失意のエヴァンだったが、宿敵バニールの居場所を突き止める重要な情報を手に入れたことで、残り少ない余命をバニールへの復讐に費やす決意をするのである。
なぜか記憶からときどき消失するニコラス・エイジw
本作の感想とは関係ないが、ニコラス・ケイジの作品は相当数見ている僕なのに、この俳優の名前を忘れてしまうことがよくある。
彼の出演作や、なにかしら関係あることが話題に出た折に、彼の名前を口にしようとすると、なぜか出てこない。
本作を観ていて、ケイジが演ずるエヴァンが徐々に記憶障害になっていくさまに、このことが思い出されて、思わず苦笑してしまった。
本題に戻るが、エヴァンは引退を余儀なくされてしまう。
だが、バニールへの復讐心を忘れられず、腹心の部下ミルトンの協力を得ることで、自らバニール探索のために動き出す。急に感情が高ぶったり、不安や憂鬱に陥るなど、FTDの症状が見え始めてきたことに焦りを感じながらも、エヴァンは、22年前の”オトシマエ”に、残り少ない自分の時間すべてを使うことに躊躇することはないのである・・・・。
なかなかに重厚なスパイ・ストーリー
主人公が”ボケて”いくことに、部下であるミルトンは不安になりながらも献身的にエヴァンを支えるが、観ている僕たちのほうが不安になる(笑)。ニコラス・ケイジの映画は、初期のもの以外は、どれも総じてあまりハッピーエンドではなく、アクション映画であっても暗いトーンのエンディングに向かうものが多いが、本作もその意味では例外ではない・・・。
ただ、残り少ない時間の中で、仇敵を追い詰めようとするエヴァンとミルトンたちの追跡はスリリングだ。上質なハードボイルドと言っていいだろう。
敵に接近し、追い詰めていくにつれ、主人公は 弱って いく・・・。そのさまが哀れでもあり、緊迫感を煽っていくのだ。
果たして彼は無事に仇敵を倒せるのか。そして、もし復讐を果たせたとしても、そのときに彼の記憶は残っているのか。
ちなみに、本作の原題は「DYING OF THE LIGHT」、光の中で死す、とでも訳すか。つまり、現役で死にたい、ということなのかもしれない。
結末はぜひ、本作を観て欲しい。