『セッション』(原題: Whiplash)は、2014年にアメリカ合衆国で製作されたドラマ映画である。監督・脚本はデミアン・チャゼル、主演はマイルズ・テラーが務めた。第87回アカデミー賞で5部門にノミネートされ、J・K・シモンズの助演男優賞を含む3部門で受賞した。 - Wikipedia

音楽に打ち込む若き青年 ニーマンに訪れる好機と狂気

19歳のアンドリュー・ニーマンは一流のジャズドラマーになるために、アメリカで最高の音楽学校であるシャッファー音楽学校へと進学した。彼のアイドルはバディ・リッチ。史上最高のドラマーの一人と称される偉大な人物だ。

彼の家系には音楽家はいない。音楽への理解も乏しく、アスリートよりもミュージシャンを格下に見る。だからこそ彼は音楽のプロとして成功を夢見ているのだ。

そんな彼にチャンスが訪れる。シャッファー音楽学校で最も優秀で厳格な指揮者として知られるフレッチャーのバンドのメンバーに抜擢されたのだ。

画像: 19歳の彼はやがて歴史に残るようなプレイヤーになることを夢見ていた session.gaga.ne.jp

19歳の彼はやがて歴史に残るようなプレイヤーになることを夢見ていた

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画像: 毎日練習に励むニーマン session.gaga.ne.jp

毎日練習に励むニーマン

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音楽に全てを捧げる代償は?

しかし、フレッチャーのバンドメンバーへの扱いは非情を通り越して非道いものだった。わずかなミスも許さず、容赦なく罵倒し、誹謗し、ときに口だけでなく手を出し物を投げるのだ。
最高のアルトサックス奏者 チャーリー・パーカーを育てたのは、罵倒であり誹謗であり理不尽な暴力であった、フレッチャーは事もなげにいうのであった。

ニーマンだけでなく、バンドメンバーの誰もがフレッチャーからのプレッシャーに追い込まれていくが、ニーマンはフレッチャーの狂気が乗り移ったように音楽にのめり込み、腕を上げていく。彼の音楽への、そして成功へのこだわりは日増しに強くなり、恋仲になったはずの恋人(行きつけの映画館で働くニコル)とも別れる。音楽の精進の妨げになると考えたからだ。

果たしてニーマンの野心は実を結ぶのか。フレッチャーの真意はなんなのか?

フレッチャーはニーマンを始め、音楽学校の生徒たちを教える、という気がないのかもしれない。ただひたすら自分の理想とする演奏を成立させようとするだけなのかも。それだけに純粋だが、それがゆえに周囲を追い詰めていく。
ニーマンもまた、フレッチャーの過酷な追い込みに正気を失っていき、結果として学校を追われた。また、フレッチャーも教え子の一人が自殺したことで、音楽学校の教官を辞する。

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画像: 鬼のように厳格な指揮者フレッチャー session.gaga.ne.jp

鬼のように厳格な指揮者フレッチャー

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画像: ほんのすこしのタイミングのズレも許さないフレッチャー session.gaga.ne.jp

ほんのすこしのタイミングのズレも許さないフレッチャー

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画像: ニーマンのテンポの乱れを張り手で教えるフレッチャー session.gaga.ne.jp

ニーマンのテンポの乱れを張り手で教えるフレッチャー

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画像: フレッチャーを見返すため、狂気にとりつかれたように音楽に打ち込み始めるニーマン session.gaga.ne.jp

フレッチャーを見返すため、狂気にとりつかれたように音楽に打ち込み始めるニーマン

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恩讐を超えて、音楽を極めようとする二人の天才の激突の行方

原題の「Whiplash」とは、作中でなんども演奏される練習曲のタイトルである。
その名の通り、ムチで痛めつけるかのようなサディスティックな内容の映画だ。

音楽に没頭しすぎたがゆえに、二人とも多くのモノを失っていく。しかし、それでもやはり音楽に打ち込む。自分が音楽学校を辞めさせられた原因をニーマンであると信じるフレッチャーと、フレッチャーを否定したい自分と、その卓越した能力に惹かれてしまっている自分との矛盾に揺れるニーマン。二人の激突は、期せずしてジャズ・セッションの場に持ち越されるのであった。

感想を素直に書くと:

これは確かに傑作だ。
最後の最後に、二人の天才が互いを認め合い、才能に触れ合った瞬間に、それ以外の余計な感情はぶっ飛ぶ。恨みつらみや、策謀も、すべてが溶けて消えて無くなる。

音楽に純粋で、才能を理解し合える相手と出会えたことで、最高の”演奏”が実現し、そして最上のコラボレーションが生まれるのだ。

セッション、というタイトルはどうかな、と思っていたが、最後の最後に最上級のセッションが見られる。最後の最後で、本当のテンポが合う。その美しさ、完璧さに酔える。傑作だ。

映画『セッション』予告編(4/17公開)

www.youtube.com
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