大好評の(?)、エンターテイメントの中のバイク乗りたちシリーズ。
今回は、楠みちはるさんの傑作『あいつとララバイ』(講談社 少年マガジン 1981-1989年連載)です。


主人公 菱木研二は非行で1年留年した、ナンパな不良。初期はラブコメ要素が強かったのですが、徐々に速い公道レーサーたちとのバトルを軸に物語が進むようになり、やがて『バリバリ伝説』にならぶ、バイク少年のバイブルになるんです。

この作品の特徴は、他のバイク漫画と違って、主人公とバイクが一体化したような関係性が成立していることです。


研二くんは女の子には目移りしても、自分の愛車ZII(ゼッツー。カワサキ 750RS)には盲目的な愛情を注ぎます。最初から最後まで同じバイクに乗り、そして最後まで同じようなスタンスで物語が進む作品は、他にあまりないと思います。
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画像1: 永遠のバイク少年 菱木研二の愛車に対する接し方に惚れる。ー『あいつとララバイ』


日本国内で、カワサキの空冷Zの祖である ZI(ゼットワン)よりも、弟分であるZII(ZIは海外仕様で900cc、ZIIはそのスケールダウンの国内市場専用車で750cc)のほうが、高値で取引されている現状は、もちろんZIIが国内専用車だったことから玉数が少ないということもあるでしょうが、やはり、『あいつとララバイ』の影響が大きいと思います。


作者の楠みちはるさんは車好きでも有名で、車とナンパが好きな少年たちのコメディ『シャコタンブギ』や、悪魔のZのフレーズで有名な『湾岸ミッドナイト』などの傑作がありますが、その主人公たちも同じように自分の愛車を、単なる車以上の対象として、とても大事にしています。ある意味、恋人以上のパートナーとしてみているんですね。

画像2: 永遠のバイク少年 菱木研二の愛車に対する接し方に惚れる。ー『あいつとララバイ』




研二くんもなんどもなんどもZIIを壊してしまいますが、その度に一生懸命直して乗り続けます。連載当時でさえ、すでに古臭いバイクとして登場するZIIですが、彼の愛情がZIIをスーパースポーツ並みの速さと魅力を持つ一台へと昇華させてるんです。


われわれも、とっかえひっかえせず、自分のパートナーをきちんと大事にする、そういう心構えが大事なように思います。そんな当たり前のことを感じさせてくれる良作なんですよ、『あいつとララバイ』は。
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