75年10月の免許制度改定によって400㏄までの中型二輪免許が新設され、401㏄以上の大型二輪には運転免許試験場の限定解除試験をパスしなければ乗ることができなくなってしまう。この試験は平日の日中にしか実施されず、しかも合格率が極めて低かったため、新規に二輪免許を取るユーザーは、簡単には大型バイクに乗れなくなってしまった。当時は、今以上に大排気量車への憧れが強かった時代。必然的に中型免許上限の400㏄クラスに人気が集中し、メーカーもその開発に力を注ぐことになる。そんな状況にくさびを打った250ロードスポーツの歴史、5回目の今回はHONDA VT250Fをご紹介したいと思います。

HONDA VT250F(1982年6月)

画像: (オートバイ©モーターマガジン社) www.motormagazine.co.jp

(オートバイ©モーターマガジン社)

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●水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒●248cc●40PS/12500rpm●2.3kg-m/11000rpm●152kg
●100/90-16・110/90-17●44万9000円

圧倒的なスペックと走り、水冷エンジンやモノクロスサスといったメカニズム的魅力で独り勝ち状態を続けるRZ。それに対抗して82年6月に投入されたのがホンダVT250Fだった。
ご存知のように、同じ排気量ならば2ストロークエンジンの方がパワーを稼ぎやすく軽くできるが、ホンダはあえて4ストロークで勝負に出る。水冷DOHC4バルブ90度Vツインという高度なメカニズムを持つエンジンは、RZと肩を並べる35PSを発生し、ワイドループフレームやフロント16インチ、プロリンクサスなど、車体関係にも最先端技術を採用。「高性能は欲しいけど、2ストのピーキーな特性はちょっと…」というアンチ2ストユーザーを中心に、爆発的な人気を獲得。4ストならではの常用の扱いやすさとバランスのとれたハンドリングもあって、女性ライダーからも支持を集め、RZが口火を切ったバイクブームをさらに加速させた。

小型ジェット戦闘機イメージをデザインのベースに、軽量、コンパクト、スリムを徹底追求した結果生まれたこのスタイリッシュなデザイン。そしてNR500の血を引く純血のスーパースポーツ。

HONDAはこのHONDA VT250Fで、オンロードスポーツ250の頂点を目指したのです。

低維持費、取り廻しの良さなど、250ccクラス本来のメリットに加え、HONDAの技術を集結した燃費の良さや、市街地でも乗りやすい中・低速トルク特性にすぐれたマシンとして、多くのファンを魅了しました。

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