トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は人体に衝撃が加わった際の傷害をコンピューター上でシミュレートできるバーチャル人体モデル “THUMS(サムス : Total HUman Model for Safety) Version 4” にモデルを追加し、本年秋から販売すると発表しました。
THUMS は詳細な CTスキャンデータをもとに作られた “バーチャル” の人体モデルです。人体各部位の傷害程度を予測することが可能で、エアバックなど乗員保護装置の技術開発に活用されています。また、THUMS は NASCAR(ナスカー・全米自動車競争協会)のレース事故におけるドライバーの肋骨骨折を低減するシート形状規格の策定といったモータースポーツの分野でも活用されるなど、その用途がどんどん拡大しているのです!
今回、“THUMS Version 4” に追加されるモデルは、10歳(身長138cm相当)、6歳(身長118cm相当)、3歳(身長94cm相当)の “子ども” モデルで、各年齢の平均体格を表現しています。これらは、米国ミシガン州のToyota Technical Center内に設置されている「先進安全技術研究センター」が、米国のウェインステート大学やミシガン大学と共同で実施した研究成果(身体形状データ)などを活用して作成されました。
新たに販売される “子ども” モデルも、これまで発売してきた “大柄男性”モデル(身長189cm相当)、“成人男性”モデル(身長179cm相当)、“小柄女性”モデル(身長153cm相当)と同様に、乗員と歩行者の姿勢を模擬した2タイプ(計6タイプ)を揃えています。今回のラインアップの充実により、年齢や体格差による影響まで考慮した、より幅広い傷害解析が可能となります。
トヨタは2000年に “THUMS Version 1” の市販を開始して以来、代を追うごとに実際の人体の脳や内臓形状や骨格、筋肉への事故の影響をより詳しく忠実に模擬できるようにモデルをバージョンアップしてきました。
THUMS は(株)JSOL(東京都中央区)および日本イーエスアイ(株)(東京都新宿区)を通じ販売されています。これまでに THUMS は国内外の自動車メーカー、部品メーカー、大学などが多数採用し、トヨタはもちろん、それ以外の世界中の自動車の安全技術研究に貢献しています。
トヨタは「交通死傷者ゼロ」を目指し、今後もTHUMSを用いて車両衝突時の乗員や歩行者の傷害を解析し、様々な安全技術の開発・改良に活用していくとしています。
この “THUMS Version 4” が、大人はもちろん、子どもにとってもより安全性が高いクルマを生み出すことに期待しましょう!