バイク好きのみなさんは、スノーモビルはもちろんご存知のことと思う。よく知られた雪上の乗り物だが、スノーモビルに乗ったことがある、という方は意外と少ないかもしれない。かくいう私も、興味はあったが雪国の特殊な乗り物という印象が強く、縁遠いもののように感じていた。
そんなスノーモビルをレジャー用途も含めて、広く知ってもらいたいという主旨で、ヤマハ発動機さんが「スノーモビル体験試乗会」を開催するというので、これはまたとない機会だとばかりに、いそいそと会場となる長野県のスキー場「タングラム斑尾」へと向かった。
スノーモビルは道路交通法によると普通自動車として扱われるらしい。なので公道を走行する場合は、普通自動車免許などで乗れるようだが、スキー場内など公道でなければ、免許は不要で安全や環境保護などの講習を受ければ、ライセンスが発行されて楽しむことができるようになる。
この日の参加者はみなスノーモビルは初体験という方ばかり。午前中に簡単な講習を受けると、お昼には実際のスノーモビルを前に、エンジンの掛け方から操作方法、コーナリングでの体重移動などをインストラクターから教わり、すぐにコースへと走り出した。これから雪上の特殊車輛に乗るのだ、という意気込みに反して、なんとも簡単なものである。
体験試乗会では様々なタイプのスノーモビルが用意されていた。なにせ初めて乗るスノーモビルだから、その違いも分からないまま走り始める。最初に乗せていただいたのは、500cc程度の2サイクルエンジンを搭載した機種だった。私はスノーモビルに対して漠然と、雪上のモトクロッサーのようなイメージも持っていたので、2ストのエンジン音とともに、想像よりもずっと軽快に走るマシンにまずは好感触。
スノーモビルはバイクのようにハンドルを握りまたがって乗るので、雪上のバイクのような印象を持っている方も多いかと思う。私もそのように感じていたのだが、乗ってみるとあたり前ながら、実際にはバイクとは全く別物の乗り物だった。フロントはダブルウィッシュボーンで支えられたスキーのような2枚のブレードで操舵し、リアは幅のあるキャタピラで駆動している。
コーナリングも独特の操作が必要で、ハンドルを切って思いっきりイン側に体重を預けるように移動する。雪上は路面と違い平坦な場所はほとんどない。スノーモビルの大きな車体は自立するため安定しているが、平坦ではない雪上を走ると、雪面の傾きやギャップを体重移動で補いながら走ることとなる。これはやはりオフロードバイクに近く、バイクよりもはるかに大きな車体を、乗り手の身体や体重を使ってコントロールするため、だいぶスポーツだ。少し走っただけでとたんに汗ばんできた。
クローズドの練習エリアでひと通りの操作方法を学んだ後、タングラム斑尾の広大な敷地内に設定されている、外周の林道コースへのツーリングに出発した。