最近ではメーカー主導で、このカスタム文化をさらに洗練させ、普及させていこうという動きが世界的に見られるようになってきたが、そもそもモーターサイクルを自分自身のライフスタイルに合わせてカスタムし、個性を追求することを提案してきたのが、ほかならぬハーレーダビッドソンだ。
STREET BUILD OFF とは
メーカーが主導するカスタム文化とは、どういうことか。
それは、自由な発想をアシストできる、カスタムをしやすい構造を持つベース車を提供すること、そして、実際にカスタムした状態を想像しやすい環境を作ることだろう。例えばBMWならばR nineT、YAMAHAならXJR1300、Ducatiならスクランブラーというように、世界中のカスタムビルダーが手をつけやすい車両を提供し、かつカスタムすることを推奨する動きがそれだ。同時に、これらのベース車をカスタムする場を作るのも重要であり、BMWのPath22、YAMAHAのYard Builtなどのプロジェクトが多くのカスタムビルダーを惹きつけている。
これらのムーブメントに沿った形でハーレーダビッドソンがぶち上げた大きなアドバルーンが、最新のモーターサイクル STREET750であり、DARK CUSTOM STREET750CUSTOM PROJECTだ。
【DARK CUSTOM STREET750 CUSTOM PROJECT】
DARK CUSTOMとは、既存の形にこだわらず、自由を追求して自分だけのスタイルにカスタムする、ハーレーダビッドソンが提案する個性を追求する生き方である。
DARKとは黒を意味するのではなく、何色にも染まらない無の状態を指し、転じてDARK CUSTOMとは自分だけの色に染める事ができるキャンバスのことでもあるのだ。(中略)
Street750はそんなDARK CUSTOMモデルに2015年から加わった最新のモーターサイクルで、このプロジェクト「STREET750CUSTOM PROJECT」は、カスタムされるべくして生まれてきたSTREET750の可能性を、日本を代表するカスタムビルダー5名、そしてハーレーダビッドソン正規ディーラーの手によって追求するべく始められたものだ。
このDARK CUSTOM STREET750CUSTOM PROJECTは、ハーレーダビッドソンの正規ディーラーによるカスタム部門と、ハーレーダビッドソン本社デザインチームが選出した、日本のカスタム最前線を走る5つのカスタムビルダーによるカスタム部門の二つに分けられており、ともにSTREET750をベースに究極のカスタムアート製作を競った。
そのうちの、5つのカスタムビルダーによって競われたカスタムプロジェクトこそが、 STREET BUILD OFF だ。
日本が世界に誇るカスタムの祭典 Yokohama Hot Rod Custom Showにて優勝者の発表
そして、2015年12月6日に行われた「Yokohama Hot Rod Custom Show」という最上のステージにおいて、優勝の栄冠を勝ち得たのは、Custom Works Zonの制作した" ZONNEVLEK " (オランダ語で"太陽の黒点"の意味だという)。
ベース車両であるSTREET750の面影は十分に残しながらも、あまりに未来的な超絶カスタムバイクの優勝に、誰もが納得の結果ではあったが、他の4台のカスタムも、これからのハーレーカスタムの方向性を決めていくであろう、素晴らしい作品だった。
称えられるべきは、優勝したCustom Works Zonだけではない。
あらためて、ハーレーダビッドソンがこれまでも、そしてこれからも、日本のみならず世界のカスタムバイクシーンを牽引していくのだ、というメーカーの矜持を、このSTREET BUILD OFFというプロジェクトが広く世に示し、そしてこのプロジェクトに参加したカスタムビルダー達が、その素晴らしい作品をもって体現したのだ。
この事実こそ、我々が歓迎すべき真実なのである。