バイク漫画の金字塔「キリン」が現代の日本のバイクムーブメントに多大な影響を及ぼしたのは間違いないと思う。初出となる「POINT OF NO RETURN!」が1987年なので、そろそろ30年になろうかという作品だが、いまもその人気は衰えることがない。

バイク漫画といえば「750ライダー」にはじまり、1981年から1989年まで連載された「あいつとララバイ」や、1983年から1991年の「バリバリ伝説」が有名だが、最近の「ばくおん!!」なども含めて
いわゆる青春漫画のフォーマットをベースにしているのではと思われる。それに対して、「キリン」で描かれたのは青春をとうに過ぎた中年ライダーが主人公だった。この作品にはいろいろな観点があると思うが、シニアライダーがバイク乗りの最大ボリュームゾーンといわれるようになった現代のバイクシーンを、80年代当時にすでに予言していたといっても過言ではないだろう。

画像: この女の子が着ている襟ボア付きのG1はSchottかなぁ。きっと初めてバイクにタンデムする彼女のために貸してあげたんだろうな。

この女の子が着ている襟ボア付きのG1はSchottかなぁ。きっと初めてバイクにタンデムする彼女のために貸してあげたんだろうな。

その作者である東本昌平の名を冠した雑誌「RIDE」が100号となった。この雑誌はこれまでにない斬新な切り口で、バイク業界を盛り上げてきたといえる。創刊から8年あまり、ツーリングに出かけるとRIDEの“カンバン”を背負ったライダーを日本全国で見かけるようになった。そしてそれは、新潟のラーメン店主や焼肉店主、九州のカレーショップやコーヒーショップといった、雑誌RIDEに共感するライダーたちが経営する日本全国のお店なども支えることとなり、キリン的ないまも若い頃の気持ちを失わないオッさんライダーの支柱となっている。

そんな雑誌RIDEで最も重要なコンテンツは、巻頭に掲載される東本昌平書き下ろし漫画ではないだろうか。毎号、オッさんライダーの孤独な胸の内を代弁してくれるかのようなストーリーに、グッときた読者も多いと思う。もちろん私もそのひとりだ。この巻頭漫画は雑誌RIDEの増刊号である「RIDEX」に収録されているが、パラパラ漫画としてネットでも一部見ることができる。

「バイクに乗り続けることを誇りに思う」。この雑誌のコンセプトであろうこの言葉は、すべてのオッさんライダーに向けられているのだろう。それはリターンライダーであっても同様で、乗り続けていたかどうかは関係なく、いまバイクに乗っているか、あるいはいまバイクに乗りたいと思っているという気持ちが大切なのだろうと思う。このパラパラ漫画ムービーは、そんな忘れかけていた私たちオッさんの気持ちをグッと押し出してくれるのだ。さぁ、またバイクに乗ってみようか!

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.