画像1: ワイルドだぜぇ!このカンジに浸れるワンアンドオンリーなマシン「Harley-Davidson IRON 883」

バイク乗りにとって「ワイルド」というのは、なにか特別の言葉のように感じている方も多いかと思う。少し前にお笑い芸人が、カットオフジージャンを着て「ワイルドだぜぇ〜」っていうギャグを流行らせたが、まっとうなバイク乗りとしては、「いやいや、そこに行きますか〜」などと思ったものだ(笑)

そんな“ワイルド”を体現したような「Harley-Davidson IRON 883」は、そんなことはおかまいなしに「ワイルドに行こう」と思わされたマシンだった。

画像2: ワイルドだぜぇ!このカンジに浸れるワンアンドオンリーなマシン「Harley-Davidson IRON 883」

バイクという乗り物は、そもそも“ワイルド”ではない。バイクがヨーロッパの貴族的な乗馬文化の流れをくんでいることを考えると、ワイルドとは正反対の性質を持つのではないだろうか。

実際にヨーロッパのバイクメーカーの多くは、そうした歴史をブランド価値としていまにいたっている。一方、日本では大昔の暴走族の“活躍”のおかげか、バイク=“不良”というイメージがついているかもしれない。ただ、この“不良”も“ワイルド”とは、だいぶニュアンスが違うのだ。

画像3: ワイルドだぜぇ!このカンジに浸れるワンアンドオンリーなマシン「Harley-Davidson IRON 883」

私は20歳代の頃にそんな“ワイルド”への憧れからか、ハーレーのスポーツスターに乗っていた。このところはすっかりそんなハーレー的から遠ざかっていたのだが、およそ25年ぶりに乗ってみた「Harley-Davidson IRON 883」には、まぎれもなく“ワイルド”を感じさせられることとなった。

画像4: ワイルドだぜぇ!このカンジに浸れるワンアンドオンリーなマシン「Harley-Davidson IRON 883」

IRON 883はライディングポジションが低い。まるでリジッドフレームのスポーツスターのようだといったらいい過ぎだろうか。これってこの手のバイクには大事なポイントなんだよなぁ。実際にリアフェンダーとリアタイヤの間隔はだいぶ狭い。これを力強そうなリアスプリングが支えている。

さらにまたがった先にあるハンドルも低い。近頃はやりのボバーカスタムとまではいえないが、この低さは“ワイルド”を感じさせる重要なポイントでないだろうか。

画像5: ワイルドだぜぇ!このカンジに浸れるワンアンドオンリーなマシン「Harley-Davidson IRON 883」

ハーレーダビッドソン独特の太く感じるアクセルグリップ(昔はホントに太かった)を握り、大きなセルボタンを押す。昔のハーレーはいかにも重そうなクランクを、懸命に電気モーターで回していますよとばかりに、キュカ、キュカ、ドン!と始動したものだけど、最新式のハーレーは拍子抜けするほどあっさりエンジンが回りだす。

とはいえ、アイドリングし始めたエンジンの不規則な振動に、これからハーレーダビッドソンに乗るんだぞ、と感じさせられるのは変わっていない。

画像6: ワイルドだぜぇ!このカンジに浸れるワンアンドオンリーなマシン「Harley-Davidson IRON 883」

かつて乗っていたスポーツスターはスタンダードな883だった。リッタースポーツを乗り継いでいた私には、883はだいぶ物足りなく感じられ、すぐに1200ccにボアアップしたものだった。IRON 883を走らせ始めると、やはり883ccのエンジンはビッグパワーを発揮するものではなかった。2000回転あたりでドコドコとトルクを感じる特性はむしろマイルドといってもいい。

画像7: ワイルドだぜぇ!このカンジに浸れるワンアンドオンリーなマシン「Harley-Davidson IRON 883」

マイルドとはいえこれはまぎれもなくハーレーダビッドソンだ。両膝の間で働くエンジンは否応なく存在感を伝えてくる。この感じは近年の洗練されたバイクでは味わうことができない、ハーレーダビッドソンならではの感覚ではないだろうか。それはまるで、太い腕からネルシャツをまくり上げて、「さぁ、いっちょひと仕事しようかね」と立ち上がる労働者といった力強さがあるのだ。

これ以上低くするのはもう難しいだろうなと思われる車体は、路面のギャップをそれなりに伝えてくる。これも見方を変えるとバイクで走っているのだと実感させられ、むしろ充実感が増す要素となっているようだった。そんなIRON 883の低いライディングポジションで走っていると、ハイパワーではないが力強さを感じさせるエンジンの存在感もあいまって、まさに“ワイルド”というにふさわしい気分がこみ上げてくる。そうした全体的な走行フィールにより、883という排気量も案外ちょうどいいのだなと思えてきた。

画像8: ワイルドだぜぇ!このカンジに浸れるワンアンドオンリーなマシン「Harley-Davidson IRON 883」

ライダーが常に接することとなる、メーター周りやハンドルのスイッチ類も、昔から変わらないデザインだ。また多くのバイクの3倍はあるんじゃないかという、厚みのあるレバー類もハーレーダビッドソン独特のもので、他では味わえない操作感を伝えてくる。この変わらない景色の中にも、スピードメーターには小さな液晶が組み込まれていて、走行距離やエンジンの回転数、シフトのポジションなどが表示され、左ハンドルのスイッチでモードを切り替えることができる。進化してるなぁ。

画像9: ワイルドだぜぇ!このカンジに浸れるワンアンドオンリーなマシン「Harley-Davidson IRON 883」

スポーツスターがハーレーダビットソンにラインナップされてからすでに50年以上経つ。それ以来、進化し続けているが基本的なレイアウトは、ほとんど変わっていないことを考えるとあらためて驚かされる。

一般的な大型バイクと較べると小ぶりに感じられるコンパクトな車体は、しっかり重量感のあるものだ。なにせ、この頃のバイクと違って樹脂パーツはほとんど使われていなく、たっぷりと鉄(あるいは金属)で構成された、まさに「IRON」なのだ。

画像10: ワイルドだぜぇ!このカンジに浸れるワンアンドオンリーなマシン「Harley-Davidson IRON 883」

前述の“ワイルド”とはハーレーダビッドソン全般にあてはまる言葉かもしれない。アメリカ大陸で誕生したハーレーダビッドソンは、ヨーロッパ車とも日本車とも違う歴史と価値を育みつづけてきたのだ。

そのラインナップの中でも、小兵ながら力強い「IRON 883」はしっかりと“ワイルド”を感じさせるマシンだった。性能やスペックには現れないこの感覚は、バイクの魅力を語る上で なくてはならないものだ。「IRON 883」はそんな魅力が凝縮されているのだ。

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