練習走行のある22日(金)、コメンタリー用の取材として走行準備に勤しむピットの人たちにインタビューをしました。すると、イギリスからカワサキKR500とカジバC589を持ってきたクリスさんのピットに、「むむむっ?」と思う人物がいました。
鈴鹿入りした金曜日のその時点で、私はまだライダーのエントリーリストの完全版を手にしていなかったのですが、彼のヘルメットに記された名前「CHAS」を見てピンときました。この方は1960〜1970年代に世界ロードレースGPで活躍された人物、チャス・モーティマーさんです。
チャスさんのプロフィール。
ここ鈴鹿に集った2輪ファンのお目当はケビンやエディやケニーなのでしょうが、私はチャスさんを発見して「うぉー!」とひとりコーフンしてしまいました。普段自分の遊びで、ヒストリックロードレース用に乗っているマンクス・ノートンやグリーブス・シルバーストーンに、チャスさんは非常に縁の深い人物なのです・・・。
父とフランシス・バート(伝説的なマンクスノートンチューナーのひとり)が経営するレーシングスクールのインストラクターとして働きながら、チャスさんは1965年からロードレースへ参戦(グリーブス・シルバーストーン)。1969年からはヴィラとヤマハに乗り世界ロードレースGPへ参戦開始。107戦で通算7勝。そのうちの4勝は世界GPステータスがかかっていた時代のマン島TTでした。
マン島TT自体は通算で8勝。1976年にはマカオGPでも優勝。そしてチャスさんのキャリアでユニークなのは、世界GP含むFIMの世界選手権の125cc、250cc、350cc、500cc、そして750ccの各クラスで、彼は優勝を経験しています。この稀有な記録を達成したのは、後にも先にも彼が唯一無二なのです。
また日本に来てくれるかな? いいとも〜?
オーナーのクリスさん、ライダーのチャスさん、そしてメカニックのナイジェルさんとは、金曜日と土曜日に不調だったカジバC589のメンテナンスのために、「とあること」をお手伝いしたことから仲良くなりました。自分もヒストリックモーターサイクルレースを趣味にしていることを話すと、「じゃあ英国に来たら、ぜひ寄ってくれ!」「チャスとふたりで、グッドウッド・リバイバルにエントリーしたらどうだ?」などなど、とても嬉しいことをおっしゃってくださいました。
主催者は来年も、SUZUKA Sound of ENGINE を開催したいと考えているのですが、そのことをお伝えするとクリスさんは「来年ももちろん参加するよ!」と力強くこたえてくれました。来年度はどのようなファクトリーバイクを持ってきてくれるのでしょうか? 楽しみにしましょう!