1970年代は、ジャンプといえばどれだけ距離を飛ぶかが話題の中心でした。現代のモトクロッサーよりはるかに貧弱なサスペンションのモーターサイクルしかなかった当時、ビッグジャンプはまさに命がけの行為だったのです。そんな時代に活躍したのが、1938年生まれのイーブル・クニーブル。人は彼をDaredevil=命知らずと呼びました。
出典:http://ljlindhurst.com/large/evelknievel1.jpg、
ラスト・アメリカンヒーロー
彼は1960年代半ばから、スタントショーとしてのモーターサイクル・ジャンプをスタート。10台以上並べたクルマを飛び越えるスリリングなショーはたちまち評判となり、一躍彼は時の人となりました。彼のキャリアのハイライトは、1967年の「シーザースパレス」でしょう。ラスベカスの有名ホテルの巨大な噴水を、トライアンフ・ボンネビルで飛び越えるという壮大なショーでしたが、着地に失敗して全身各所を骨折。このとき記録した141フィート(約43m)は彼の最高飛距離となりました。
出典:http://hilobrow.com/wp-content/uploads/2011/01/knievel-
その後もイーブルはジャンプスタントを続け、幾度も大クラッシュに遭っています。その結果、生涯骨折433回という世界記録まで残してしまいますが、まさに命知らずの挑戦ぶりに人々は魅了されたのでした。1971年には自伝映画「Evel Knievel」まで作られたのですから、その人気ぶりもわかるでしょう。
出典:http://www.jcs-group.com/cruisin/
しかし、ショーにはいつしか終わりが訪れるもの・・・彼が記録したジャンプは、1977年のシカゴが最後でした。そして2007年に彼は69歳でこの世を去っています。なお彼の息子、ロビー・クニーブルは2代目Daredevilとして活躍。彼のジャンプで一番有名なのは、1999年の「グランドキャニオン・ジャンプ」でしょう(下の動画です)。
さて、現代の記録はというと・・・?
冒頭の問い・・・ジャンプ最長記録は? に戻りましょう。それはオーストラリアのFMXライダー、ロビー・マディソンが2008年に記録した350.98フィート(約107m)とのことです。イーブルのキャリア・ハイの2倍以上! 記録は破られるためにあるとはいえ、隔世の感があります。こちらの動画はそれよりも少ない距離(278フィート・約84.7m)のジャンプですが、成功するとわかって見ていてもハラハラしますね・・・。
出典:Red Bull
でもやっぱり「Daredevil」というと、イーブルの雄姿が最初にイメージされてしまいます。怖いもの見たさなデンジャラスな感じが圧倒的にイーブルのジャンプにはあるんですよね・・・(*個人の感想です)。Youtubeには彼の命がけのジャンプが数多くアップされてますので、ぜひご覧になってください。