屋根つき = インドアとか路面整備不要の硬質舗装 = アスファルトやコンクリートを使う小さな小さなショートトラックレーシングは、近年アメリカでじわじわと人気の高まるローカル・ファン・ムーブメントの急先鋒ですが、レーストラックの大小とスタッフのお仕事の多寡はそこまで比例するものではないようです。バックステージでは一体いくつの眼差しがレースを見守っているのでしょうか。

的確なジャッジと "回し芸" なしに円滑で公正な競技進行は期待できません

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。下の写真は2003年か04年、カリフォルニア州サンノゼはサンタ・クララ・カウンティ・フェアグラウンドのパーキングロット (駐車場) で行われたアウトドア・アスファルト・ショートトラックレースからの一幕です。

当コラムの熱心な読者、かつ勘の良いコアなダートトラックレースファンの中にはお気づきの方もいるかもですが、こちらの場内では例年、"サンノゼ・レジェンド・インドア" というイベント名で、屋内コンクリート路面での超短走路ショートトラックレースが同じプロモーターによって開催されています。走路とギャラリーを隔てるメタルフェンスやクッションパッド (ヘイベイルカバー) ・バナーなどもおんなじ雰囲気ですね。

画像: 的確なジャッジと "回し芸" なしに円滑で公正な競技進行は期待できません

施設改修とか何らかの理由でいつもの屋根つき空間が使えず、仕方なしに?駐車場へと場を移してのレース開催だったのだと推測しますが、トラックサイズは通常とほぼ同一、この広さ (いや狭さ) でプロ450とかヴィンテージクラスまで走らせる趣向で、ロングトラックでの競技がなにかと困難な、我が国でのこのスポーツの条件にもマッチする興味深いイベントです。

この一葉の写真から読み取れるのは広さ狭さとトラックコンディションだけではありません。今まさにグリーンシグナルでレースがスタートした瞬間、観客以外にライダーたちを見守る目・・・トラックオペレーションには何人が携わっているでしょうか?

インフィールド中央のスターティング / フィニッシュライン付近に4人・・・メインフラッグと着順の確認、違反行為のチェック役でしょう、右奥1-2ターンに2人・・・黄旗フラッグマンと救護サポート (おそらく3-4ターンにも同じく2人はいるはず) 、2ターン外側にはペイパークリップを持っておそらく次のクラスのライダーの顔ぶれを確認して呼び込む役務に2人、ここまでで10人。そして2ターン立ち上がりには、こちらに尻を向けて駐車する救急車の傍らにメディカルスタッフが最低2人 (あちらではこの種のイベントにおいて、たとえ小規模でも医療従事者の常駐が当たり前です) ・・・以上合わせて (少なくとも) 12人の目が光っていることがわかります。

大入り満員のインドアコンクリートな他会場でもほら!この通り〜

数年前からウィスコンシン州ミルウォーキーのファイサーブ・フォーラム (NBA: 全米プロバスケットボールチーム・ミルウォーキー・バックスの本拠地アリーナ!) で年に1回、カスタムモーターサイクルショウとの併催で人気を博す、"FLAT OUT FRIDAY" なるインドア・ショートトラックレース・・・ご存知ミルウォーキー出自のハーレーダビッドソン "本社" が主催する一連のビッグイベント (アジア・ヨーロッパメイカーにもこの気概があったらいいのになぁ) ・・・は各界からの注目の高まりに伴ってカメラを携えたメディア関係者の姿も目立ちますが・・・

画像1: 大入り満員のインドアコンクリートな他会場でもほら!この通り〜
画像2: 大入り満員のインドアコンクリートな他会場でもほら!この通り〜

やはりインフィールドの8〜10人はレースを回すトラッククルーのようですね。これほどの規模のイベントなら着順集計とかタイム計測は電気仕掛けの力を借りているでしょうけど (それでもWチェックで人の目は欠かせませんが) 円滑なレース進行のためにはこのくらいの人数が必須だということがわかります。

画像3: 大入り満員のインドアコンクリートな他会場でもほら!この通り〜

頭数だけ揃えればいい、というわけではもちろんありません。グリーンシグナルを操作するスターターには動きを読まれないフェイント能力 (フライングを誘う、という意味ではなくスムーズかつ公正にスタートさせるため) が必要ですし、黄旗を振るコーナーワーカーには常時視線を送るべき場所とか身体の向きとか迷いのない所作が求められ、チェッカーを振りレース終了を告げるメインフラッグマンにはライダーなど足元にも及ばない "ショー・マン" としてのパフォーマンスが期待されます。

画像4: 大入り満員のインドアコンクリートな他会場でもほら!この通り〜

変な話、ライダーはどのようなスキルレベルであっても "走って競えば良いだけ" ですけど、トラックオペレーションにある程度の "プロ意識" がなければオチオチ安心して走ってもいられないと思うんですよね。着順把握できないとか路面作れないとか進行がやたら滞るとか・・・ごく最初のうちは失敗もあるでしょう。しかし回数を重ね連携を煮詰めていけば誰でもスマートに回せるようになるはずです。少なくとも走り手と同等か、あるいはそれ以上の深く幅広い "レース愛" が根底にあることが必須条件ですけど。

筆者主宰のFEVHOTS、ここ3年ちょっとCOVID-19禍でお休みしてきましたが、この先再開するうえで最も重視しているのは、実は以前より質の高いオペレーションが提供できるか否か、だったりして。結局そこが安全を生む重要な鍵のひとつになるわけですから、ね。

ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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