スポーツするうえでの相棒たるマシンをどのように選ぶのか・・・?これはダートトラックレーシングに纏わる普遍的テーマのひとつとも言えますが、入手する場所 (国) と時代情勢によって調達しやすく、あるいは日常的な維持管理が (乗車頻度と内容に応じて) 容易なマシン、加えて "ライダーの身の丈にもほぼほぼ合った" 車両を注意深く選定することが、長い目で見れば非常に重要です。

レディメイドか?オーダーメイドか?根深いDTX or フレーマー論争再び?

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。本格的なレーシングマシンを用意するうえで、既存モトクロスレーサーの各部を仕様変更してダートトラック走行の特色に合致させ "DTX" 化する方法と、パワフルなエンジン単体をまず選択し、一般的な市販モーターサイクルより意図的に剛性を落とした繊細かつ柔軟な車体骨格に搭載して組み上げていく "フレーマー" を作る方法、大雑把にこれら2つのパターンがあることは前にご紹介しました。

どちらがより好みか、とかビジュアル面での訴求力が高いか、とかいった主観的な尺度はさておき、新車価格100万円くらいのモトクロスレーサーを (あるいはセコハンであったとしても) 手に入れて新たに仕立てるのも、単体での流通がなかなか希有なハイパワーエンジン+競技特性に合った専用フレームと各補器類を揃えて理想の1台を組み上げるのも、どちらもそれなりにしっかり手間暇かかるプロジェクトです。

様々な世界的状況から各メイカー新車デリバリーの滞りがちな昨今、その影響もあって?中古車マーケットに目をやっても、ダートトラックに使い易いとされる手頃な価格の定番車両はめっきり出物が少なくなってしまいました。

というわけで今日は、コレもしかして使えるかも?と筆者が最近睨んでいる、今日的にダートトラックシーンで使い勝手のよさそうな "エンジン" にフォーカスしていくつかのプランをご紹介しましょう。搭載できる車体を見繕って組み合わせるもよし?近い形式の市販車を調べてみるもよし?車両選びの幅が、少し広がるはずです。

H社元祖の横型エンジン・・・のセル付き大排気量・異形の海外生産品

元来はホンダ・スーパーカブなどが採用していた伝統の横型エンジンは、星の数ほどのカスタム用部品が各パーツメイカーから発売され、4ストロークMINIというジャンルには熱心な愛好家が多いことでも知られていますが、当初の基本レイアウトはそのままに、社外のパーツだけで?組んだような排気量なんと200ccにも迫るコンプリート・カスタムエンジンがひっそりと輸入販売されています。

画像: コレ系エンジンを積んだ公道走行可のミニオフロード車 (19/16インチ) なんてのもリーズナブルな価格で輸入販売されてる模様です。車体のクオリティはちょっとわかりませんけどね・・・。国産並みを期待しなきゃOK?

コレ系エンジンを積んだ公道走行可のミニオフロード車 (19/16インチ) なんてのもリーズナブルな価格で輸入販売されてる模様です。車体のクオリティはちょっとわかりませんけどね・・・。国産並みを期待しなきゃOK?

しかも便利なセルモーター付き。このクラスになると圧縮比と排気量が高過ぎて?キックスターターをがちゃがちゃ蹴り続けると内部の歯車が欠けたりして場合によっては壊れやすいらしいのでこれは嬉しい装備。エンジン始動時は圧縮上死点をキッチリ出して丁寧にかけるものとして、重心の圧倒的な低さとか横型らしからぬ高出力が堪りません。既存の横型モデルに搭載してやるとか、このエンジンを受け止める気の利いた華奢なフレームをデザインしてみるとか・・・イメージは広がります。

各社125ccビジネスモデル、破格の"トッツァンバイク"で始めてみる?

スズキ・GN125やホンダ・CG125といった、主に海外市場に向けて企画された125ccのちょいと古めかしいビジネスモデルはいかがでしょうか?前後フェンダーや灯火類など不要のパーツは全て取り外し、フューエルタンク・シート・フットペグの位置を整えて、ハンドルくらい変えてやれば、ダートトラックライディングに適したポジションを作り出すのは多分そう難しいことではありません。

画像: GN125はスズキのミニオフロードモデル・DR-Z125とエンジン共通なのじゃないかなぁ。

GN125はスズキのミニオフロードモデル・DR-Z125とエンジン共通なのじゃないかなぁ。

未舗装の悪路を複数人乗車・荷物満載でトコトコ行くようなイメージもあるように、おそらく耐久性は折り紙付き。じっくり探せばショップでも個人売買でも、ヒトケタ万円ちょっとからの格安個体がまだまだ見つかります。今風のインジェクション仕様よりは旧来のキャブレター車のほうが、後々のセットアップにも好適でしょう。チューニングパーツはあれこれ選べそうもありませんけど・・・。

社外パーツだけでエンジン組める派の巨頭・ヤマハSR400も見つかるかも

1970年代からついほんの最近まで、基本コンセプトもそのままに粛々と作り続けられた、和製ロータックス?的なニオイすらして実はダートトラック向きに決まっている (そもそものベースとなった北米向けモデルTT500は当地のレースで大活躍しました) SR400 / 500シリーズも、知り合いとか親戚の家に車検切れでほっぽり出されていたり、世紀の変わり目あたりにカフェレーサーとかストリートトラッカースタイルでブイブイ言わせてたけどここ10年は立ったまま眠ってる、みたいな個体が案外身近に見つかったりするかもしれません。

画像: 拙宅には走行80,000kmのカフェレーサー (家人のやつ) がひっそり眠っています。嗚呼なんとかしなきゃ・・・

拙宅には走行80,000kmのカフェレーサー (家人のやつ) がひっそり眠っています。嗚呼なんとかしなきゃ・・・

本場アメリカでTT500用のダートトラックフレームを誂えて、それに積んだりしたら相当ディープな世界までズブズブとハマれそうですが、筆者ならまずは純正フレームの首を切って再溶接→キャスター角をしっかりと立てた "チープ&ベーシック" スタイルで数シーズンは楽しみたいですかねぇ。

こうして見ると我が国ならではの旬の選択肢、案外いろいろありそうですよ

いかがでしたか?
日本の今日的な状況にあわせたマシン選び、ヒャクだのFTRばかりにじっとり拘らなくても、知恵を巡らせれば様々な選択肢がありそうですね。消耗部品の入手やメインテナンス面で不安のある、希少な車種をまずはちょっと除外して考えることが、実は重要かもしれません。

画像: JAWA (チェコ) のスピードウェイ用エンジン積んだフレーマーとか、絶対ダメです。趣味の世界だ・・・。

JAWA (チェコ) のスピードウェイ用エンジン積んだフレーマーとか、絶対ダメです。趣味の世界だ・・・。

かく言う筆者もクセのあるレアキャラに非常に弱いんですけど・・・。マシンチョイスでそこまで個性を追求しなくても、その後の味付けとかライディングスタイルそのものとか、独自性を探る場面はまだまだいくらでもありますから。

ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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