2022年もシーズン折り返しを過ぎた本場米国の最高峰プロ・ダートトラックレースAFT: アメリカンフラットトラックシリーズ。ここ最近パドックのレース関係者たちの間で (実のところかなりのシリアスモードで) 囁かれるもっぱらの噂は、"インディアンはいったいいつファクトリーチーム活動から手を引くのか?" ということらしい!メイカーブランディング的にはカバン付きアメリカンクルーザーによる超重量級ロードレース、"キング・オブ・ザ・バガーズ" に専念してそちらでハーレーダビッドソンと真っ向勝負したいとか、そうじゃないとか・・・?

独壇場!ライバル不在!雁字搦めのルール変更に未来への興味も薄れがち?

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。2017年シーズンの正式デビュー以来、AFT最高峰クラスを5連覇中のインディアンFTR750。向かうところ敵なしの同車と "インディアン・レッキングクルー" と呼ばれるファクトリーライダーは、今日のAFTシーンを象徴するイメージのひとつと言っても過言ではありません。

画像: Briar Bauman Racing

Briar Bauman Racing

今期2022年シーズン、インディアンは実生活のパートナーであるブライアー・バウマンとシェイナ・テクスター・バウマンのカップルに、レッキングクルーとしてファクトリーFTR750のシートを与えています。

デビュー当初から他メイカー車でチャンピオンシップの上位を常に争ってきたトップコンテンダー勢を駆り集めてファクトリーチームを編成、もはやFTR750でなければ戦えないと痛感したプライベーターたちは新車価格5万ドル・限定販売数50余台?のコンプリートマシンをこぞって買い求め、半世紀近くに渡ってシーンに君臨した歴戦の名車ハーレーダビッドソンXR750にも世代交代を促し、(結果として) ハーレーファクトリーチームを活動休止へと向かわせたインディアンですが・・・時代を変えるスピードがあまりに速すぎた、ということでしょうか、因果応報ライクに?自らの進む先を選択しなければならない時は、刻一刻と近づいているようです。一説には今期限りという話も・・・?

創意工夫と切磋琢磨と真剣勝負なしにレースは続けられない・・・のかな?

つまるところ、メイカーは自社製品のプロモーションとセルフブランディングのため、レース活動に手を染めることが多いわけですが、2006年に新生インディアン・モーターサイクル社が設立されて以来、同社のラインナップはアメリカンクルーザースタイルをその核としていました。ブランド復活から10年目の2016年 (1901年の創業から数えても115周年の節目の年) にスタートしたプロ・フラットトラックプロジェクトは、新生インディアン初のスポーツモデル・ダートトラックスタイルをデザインソースとしたFTR1200のイメージ浸透にも、多大な影響を及ぼしたことは間違いありません。

画像: 気がつけばその後、主要グレードは前後17インチのフツーのネイキッドバイクみたいなスタイルにマイナーチェンジしてますが・・・ストリートトラッカーイメージは賞味期限切れですか? www.indianmotorcycle.com

気がつけばその後、主要グレードは前後17インチのフツーのネイキッドバイクみたいなスタイルにマイナーチェンジしてますが・・・ストリートトラッカーイメージは賞味期限切れですか?

www.indianmotorcycle.com

一進一退の攻防を繰り広げる強力なライバルの存在なしに、メイカーがファクトリー体制でレース活動を続けることは、コスト・パフォーマンスの面からも非常に高いハードルがあると言えるでしょう。往時のハーレーダビッドソン・ファクトリーチームと名車XR750にとって、そのライバルとはかつてのホンダRS750Dであり、打倒ファクトリーに情熱を燃やす数多のプライベート・チームの駆るXR750でした。伝統の大舞台でファクトリーチームを打ち負かすプライベーター・・・ウィークデイに9-17時の仕事の後にガレージに籠ってマシンを仕立て、週末のレースに出場するプロライダー達の姿に、グランドスタンドの観衆は溜飲を下げ、ひときわ歓声を送ったのです。

画像: ファクトリーカラーのマシンを駆るものの、ベテランのジャレッド・ミースはインディアン参戦初年度以来、メイカーから距離を置いたプライベートチームとして戦っています。ジャレッドは自身のクルーチーフとして、彼と同様のスタンスでハーレーファクトリーに挑み続けたクリス・カーのチューナー、ケニー・トルバートを迎えています。

ファクトリーカラーのマシンを駆るものの、ベテランのジャレッド・ミースはインディアン参戦初年度以来、メイカーから距離を置いたプライベートチームとして戦っています。ジャレッドは自身のクルーチーフとして、彼と同様のスタンスでハーレーファクトリーに挑み続けたクリス・カーのチューナー、ケニー・トルバートを迎えています。

半世紀に渡って活躍したXR750の退役、そして新型水冷ダートトラッカーXG750Rが十分なパフォーマンスを発揮することができず、ダートトラックでのファクトリーチームを活動休止として、一足先にAFTシーンを去ったかたちのハーレーダビッドソンは、両サイドにパニアケースを付けたアメリカンクルーザースタイルの重量級マシンで戦う異色の (アメリカらしい?) ロードレース "キング・オブ・ザ・バガーズ" に新たな活路を見出しつつあるようですが、どうやらインディアンもその好敵手として同シリーズでのファクトリー活動に軸足を移すつもりのようです。・・・というかハーレーとインディアンの2ブランドだけしか出られないレギュレーションみたいですね原状。

画像: 創意工夫と切磋琢磨と真剣勝負なしにレースは続けられない・・・のかな?

おそらくメイカー的には、大きなマーケットが背後に控えるこちらのバガー・シリーズのほうに勝機を (単にレースの勝敗ということでなくライバルの存在を含めた将来性も) 感じるのでしょう。ホントにインディアン・ファクトリーがAFTから退いたら、ダートトラックレースファンとしてもそれはそれで残念なことですが、おかしなイギリス人ビジネスマン(AFTのCEO)の唱えた "アメリカ伝統のダートトラックレースのmotoGP的プレミアム化計画" は完全に頓挫することになります。この無謀なプロジェクトのために、何年ものシーズンが費やされ、多くの優れたライダーがシーンを去りました。近い将来プライベーターたちの躍動する真のグラスルーツ的モータースポーツ復権の時が、ついにやってくる、のだといいんですけどね。今後の展開に期待して見守っていきたいと思います!

皆さんはいかがですか?
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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