ここ数年、我が国でのダートトラック (スタイルのカスタム?) リバイバルのためか、筆者の元には本場アメリカの様々なレース用パーツのお問い合わせや相談が頻繁に舞い込んできます。ビジネスとして成立するボリュームじゃありませんが (というか主体はレース主宰と考えてるので物販であんまり搾取するわけにもいかないですからね) 、ことマフラーに関してだけは皆さんに購入を思い止まっていただくことが多いです。なぜかって?たとえ100ccのマシンでもポンと付けてそのままニコニコ走れる場所など日本にほとんどないからです!カッコいいけどものすっごい五月蝿いんですからね。

ブン抜けマフラーでもしっかり装着する・・・のは機能的に必要だから?

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。連日ヌケるような青空の連休後半でしたが皆様いかがお過ごしでしたでしょうか?本日トップの写真は筆者所有の (ホボ) 最新型・本場アメリカのレースシーンで現在進行形で使われているスタンダードな450ccDTX = モトクロスレーサー改のダートトラッカー用 "ショートトラックマフラー" です。

ご覧のとおり・・・排気管 = 消音装置、という一般的な模範解答イメージを鼻で笑う、出口口径・φ66、日にかざせば反対側の青空がスッコーンと見えるド直管!音量など推して知るべし、あちらのプロレースではアイドリングで105dBあたりが標準とか言われてますから、国内のほとんどのサーキットでは残念ながら門前払いでしょう。文句なしにカッコいいんですけどね。

古くはドラッグパイプとかTTパイプなどと言われるような、切りっぱなしの管のみだったレース用エキゾーストシステムですが、世間で排気システム後端へ消音機 = サイレンサーを取り付けることが一般的になってくると、ダートトラックレースの世界でも、あくまで高回転の伸びを重視したほぼブン抜け仕様が基本ではあるものの、様々なギミックを仕込んで元エンジンの出力特性をガラっと変えるべく調整しようという試みが繰り返されるようになります。

画像1: 撮影: FEVHOTS
撮影: FEVHOTS

写真上はテキサスのD&D パフォーマンスエキゾースト社製ホンダ450cc DTX用、下は名チューナー、ビル・ワーナーがデザインしたスーパートラップ社製・・・よくある4インチ汎用サイレンサーを適当なパイプにくっつけたサードパーティ製ではなく、同社の製品カタログにも載る正規品 ($1,079.00!) で、かつてブライアン・スミスがGNCで駆ったC&J ホンダ450フレーマーに取り付けられているもの。それぞれの総管長はだいたい同じ・円筒部 (パイプ) と円錐部 (テーパーコーン) の比率もほぼ同じ・重量はD&D製がスーパートラップの約半分、といったところですがどちらも耳栓なしではちょっと乗りたくないくらい、傍で聞いても脳が震えるほど五月蝿いです。

とにかく抜けがよく、我が国で気軽に走らせるには元気すぎる音量の本場のダートトラック用エキゾーストですが、伊達や酔狂でなんとなくこのような仕様となっているわけではなさそうです。あちらではレース用マシンのチューニングやセットアップには (最終的にはライダーが実走して善し悪しを判断するものだとしても) シャーシダイナモ上で出力カーブや空燃費を理論的に追求しながら調整することが、実は当たり前なのです。

あえて鈍く重たく回るエンジンに作り替え、それを鋭く走らせる手法たるや

ヌケヌケで低回転のトルクがだいぶ薄く、モトクロスレーサーらしいシャープな吹け上がりなどどこへやら、しかし高回転のピークパワー発生域あたりはストック車両とは比べ物にならないほど伸びやかな "ダートトラックチューンの450cc" は、率直に言って全く別の乗り物のようです。こればっかりは乗ってみないとわからないことですが・・・。本場のレース映像を見る際にも、この仕様だからあんなアクションになるのか、あるいはあえて鈍く重たく回るエンジンであんな鋭い走りを見せるのか、と思考的に読み替えの作業をする必要があるほどです。

画像2: 撮影: FEVHOTS
撮影: FEVHOTS

このバカみたいに大きな排気口径も、消音効果は申し訳程度としか思えない内部の構成部材も、すべてはダートトラックを他車より速く走り抜けるためだけに磨かれたもの。発生する音量は我が国のモータースポーツの実情に全くマッチしない極めて騒々しいものですが・・・電動でなら同様のパフォーマンスがほぼモーター音だけで引き出せるわけですよね?益々期待が高まっちゃうなぁ。

ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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