今年4月に87歳でこの世を去った名選手ディック・マンは、生涯24勝を上げて2度の全米ダートトラック選手権チャンピオンに輝くとともに、モトクロス・トライアル・ロードレースでも活躍、マシン製作や斬新なトリックパーツの開発にも長けた "希代のマルチタレント・ライダー" でした。本日は1968年に出版されたアメリカのある雑誌で彼が "一般の・アマチュアレーサー・しかも初心者レベルの競技始めたてホヤホヤくん" 向けに書き記した、優れたダートトラックライダーを目指すために心がけるべき事柄のいくつか、をご紹介しましょう。明日につながるヒントがきっとある?はずです。

タイヤ・ギヤリング・鉄スリッパーは複数セット揃えて使い分けるべし!

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。駆け出しのビギナーライダーたちに、ディック・マンがまず力説するのは、"ライバルたちより良いタイヤ・幅広いギヤリング・路面にマッチした鉄スリッパーの形" を知り、トラックコンディションと競い合いの内容に応じて常にアジャストできるよう、準備を怠らず使い分けるべし、ということ。

ライバルと同等に走れるセットアップを得て安心するのでなく、仮に技術レベルが同等なら、これら道具のスマートな選択がよりよいレース結果、勝利への鍵となるよう整えておくのが重要とのこと。

タイヤに関しては、路面に応じたきめ細やかな調整・・・空気圧 + トレッド面への溝追加など + ホイールリム幅の違いによるタイヤ断面形状の違いから、もっとも条件にマッチするセットアップを常に追求すること。またお気に入りを単一銘柄に拘ることなく、メイカー・トレッドパターン・素材 (コンパウンド) ごとそれぞれの長所をよく知っておくこと。

ギヤリングは最低でもフロント・ドライブスプロケット2〜3枚、リア・ドライブスプロケットは8〜10枚を揃える必要がある。同じトラックであってもどのような路面状況で何速ギアで走るのか、前後ギヤリングを変えた場合の挙動の違いを幾度も体験して把握すること。走行サイクルの合間でスプロケット交換するスピードを速め、ライバルの裏をかく戦略・戦術を常に探り続けること。

平滑で硬い路面には底の平たい鉄スリッパーが、凸凹でラフなトラックには丸みを帯びた底のものがよりマッチする。履きなじんだライディングブーツ1足に対し、これら2種の鉄スリッパーをあらかじめ用意することが理想である。

ただただ同じオーバルトラックを幾度も周回するだけなのに、揃えるものが多くて億劫だし予算が・・・とネガティブに捉えるのであれば、これら全てを持ち合わせて正しく使い分けるライダーに勝つことはかなり困難なミッションになると覚悟したほうが良い。あるいは、正しい選択に踏み切らなかった時点ですでに無理かもしれない。

ここまでのこと、筆者の一意見じゃないですからね!34歳で脂の乗り切った全米チャンピオン、ディック・マンが半世紀以上前に後進に向け発した言葉です。現代の我々にもグサっと刺さります。

画像: タイヤ・ギヤリング・鉄スリッパーは複数セット揃えて使い分けるべし!

有力ライダーたちのセットアップを真似るより自身の分析能力を深めること

"ダートトラックレーシングは他の種目と比べると、よりエキサイティングかつ最も危険なスポーツで、マシンの組み立て = セットアップには無数のアプローチがあると理解すること"

"たとえ経験豊富な有力ライダーやチューナーの見立てでも、アドバイスされたセットアップが貴方にとって最良のものとは限らない。乗りながら試して自身の分析力と適応力を高め、常に次の周回がより良きものになるよう努力を惜しまず追求すること。漫然と周回を重ねるなかで前周よりなにかが好転することなど、ほとんど皆無である"

ハンドルバーやフットステップ、シートの形状や位置関係など、乗り手がマシンとふれあうポイントの全ては、体格とマシン性能の掛け合わせに応じカスタムメイドで決められるべき、とも彼は言います。ツルシの市販車から競技体験をスタートすることが、アメリカより間違いなく多い我が国では、万人向けに設定された "平均的ポジション" で走り出すことがほとんどでしょうが、そのあたりも追求していくと、より速くスムーズな自身のスタイルを確立させる近道となるのかもしれませんね。

画像1: 有力ライダーたちのセットアップを真似るより自身の分析能力を深めること

さーて次のレース (いつ?) までに、もろもろスマートに整えて準備万端、できるかな?
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

画像2: 有力ライダーたちのセットアップを真似るより自身の分析能力を深めること
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