この国でショートトラックに硬い屋根をかけようとするとお値段は・・・
WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。平均すると3〜4日に1回雨が降る計算になる日本では、レースの雨天中止があまり珍しいことではありません。過去にはシーズンのほとんどすべての大会日程が (文字通り) 雨で流れたこともあります。雨雲の通り道みたいにとりわけ降雨の多い場所に作られたトラックで、雨天順延予備日も一切設定せずにレースが行われていた、かれこれ15年以上も前のことですけど。いやーあれはなかなか悲惨なシーズンだったな・・・。
降った止んだにいちいちショックを受けて泣いたり腐ったりしていては、日本でダートトラックレーシングに心底ハマるのはなかなか難しいんですが、それでもやっぱり人間だもの、しっとり水没して人気のないレーストラックを目の前にすると、お空に向かって恨み言のひとつも言いたくなります。
"屋根かけちゃえよ・・・"
いやいやいや、言うは易しくして行うは難しの典型なんですよ。まさに机上の空論。仮に200m級ショートトラック + 観客席 + パドックエリアを想定するとして、その面積は50 x 100mに納まるかどうか (多分ギリギリ無理) です。観戦エリアとか待機場所のことはまずはいったん度外視するとしても、競技空間には柱があると困ります。と言うことで、この競技のインドア化のスペース確保にはかなりの長い距離を柱なしで保たせる、ごっつい大掛かりな建築架構が必要なのです。
ずいぶん前のことですが、400m級ショートトラックを覆うギリギリ最少限の面積で、工場とか体育館的な構成で屋根をかけた場合のコストをざっくりとシミュレーションしてみたことがあります。驚く勿れ!ごせんまんえんではレーストラック半分しか雨風をしのげるようになりませんでした、たしか。トラックサイズを半分の200mにして、客席と待機エリアを用意した場合も必要面積はおんなじくらいなので、建設費は多分いちおくくらい、ということになります。場内に敷き詰める土代はもちろん別。建屋が竣工して使い始めれば薄暗くて必ず欲しくなる照明代ももちろん算入していません。
これは・・・このスポーツカテゴリー単体で、我が国の競技規模で実現するのは現状やや厳しいんじゃないかなー。私財ぶっこみとか寄付を募ってとかならまぁあり得る?でも到底ビジネスモデルにはなりませんね。本場はいったいどうなってるんだろ。
クアドなし、箱車なし、V8レースカーなしの日本で屋根を求めるとしたら
オーバルレーシングの本場アメリカで、ダートトラックを使うのは2輪フラットトラックだけではありません。クアド = いわゆる四輪バギー、NASCARへの登竜門の1でもあるダートストックカー、超軽量なパイプフレームに高出力エンジンを搭載したスプリントカーとかミジェットカーとかゴブリンといったオープンホイール系、あるいは我らがフラットトラックに似て非なる2輪スピードウェイ種目とか・・・。いずれも日本にはないものばかり。それぞれの人口割合は考えないことにしても、マーケットの裾野は2割〜おそらく半分以下しかないわけです。
アメリカでは何十年も前から続いてきたインドア・ショートトラック。あちらでも専用会場なんてのは極めて稀で、屋根付きマルチパーパスアリーナ (マディソンスクエアガーデンとか) 、野球ドーム (ヒューストン・アストロドームとか) 、その他大小さまざまな多目的半屋内空間が、いっときこのスポーツのために使われ、そしてレースが終わればまた原状に復帰されるのを繰り返してきたのです。
日本にだって、元からの無柱でそこそこ広い屋根付きの場所って結構あると思うんです。地方卸売市場的なところとか、工場とか、自走式の立体駐車場とか・・・。用途外使用とか消防法その他法律的なこととか、そしてもちろん騒音の課題とかもあるのでね、おいそれと使わせてもらえるかは全く別の話ですけど。我々がいくら情熱的に訴えて走りたがったって、先方にメリットがひとつもないんじゃまぁ実現は難しいでしょうが。そこらへんの突っ込んだ話題はまた別の機会にでも。
地べたは土じゃなくてもできますよ。タイヤのスキール音が大きくなりますけどね。ガチャガチャの激しい肉弾戦でチョー楽しそうですよ?どこかできそうな場所をご存知でしたらご一報ください。
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!