2021シーズン全17ラウンドを予定するうち、ここまで7戦を終えたAFT: アメリカンフラットトラックシリーズ。トップカテゴリーのミッション・スーパーツインズ・クラスはインディアンFTR750が6勝、ヤマハMT-07改が辛くもTT戦で1勝。元祖ライバル・ハーレーファクトリーチームの昨年限りでの活動停止の遠因?ともなったインディアンの勢いはまだまだ留まるところを知りませんが、シーズン真っ最中のこの夏、主催団体はやや唐突に、FTR750を狙い撃ちする3つの (だいぶ) 大きなルール改訂を発表しました。他メイカー車への追い風になることは間違いありませんが・・・?

アレはダメ!コレもダメ!ソレもダメ!手枷足枷で"インディアン迫害"?

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。前節オハイオ州ライマの伝統的なクッションハーフマイル戦以来、およそ1ヶ月のサマーブレイク中なAFTですが、今般のルール変更は今週末7月24日のペンシルヴァニア州ポートロイヤルでのハーフマイル戦から効力をもつとのこと。3つのおおまかな改訂点とは・・・?

①車両最低重量はレース専用エンジン車は約150kg・市販エンジン車は約140kgとする。

インディアンFTR750のコンプリート車 = スタンダードスペックは、車重136kg前後と言われています。これ名前が似てるだけで全然別モノのホンダFTR223と10kgも変わらない軽量っぷりなんですが、それでいて最高出力は110馬力以上。このモンスターに15kg以上のウェイトを搭載させて市販エンジン車とのパワー差を圧縮しようという考えです。

カワサキ・ヤマハ・ロイヤルエンフィールド、そして (丸ごと専用エンジンのはずですがなぜか?) ハーレーダビッドソンXG750Rも市販エンジン車の範疇なので、いずれもFTR750よりおおよそ10kg軽い状態で出走することができます。

②レース専用エンジン車はフライホイール追加工等による回転マス重量化を禁止する。

すでに往年の名車ハーレーXR750、ホンダRS750Dが参加していないAFTトップカテゴリーでは、現時点でのレース専用エンジン車 = すなわちFTR750のことです。市販エンジン車・・・本来ストリートユースやロードレース向けに設計されたエンジン回転マスの軽いエンジン・・・では許可されるよりトラクションを得るためのチューニングが、FTR750には認められない、ということになります。

③ホイール最大重量は、レース専用エンジン車15.9kg・市販エンジン車19.5kgとする。

後輪の無用なスピニングを減らし、ターン脱出〜ストレート加速という最も繊細なアクセラレーションが必要な区間では特に大きなアドバンテージとなる、近年本場のシーンで大流行の "重い削り出しホイール" 。なかにはほとんど反対側が見えないディッシュホイールみたいなデザインもあるくらいですが、ここでも市販エンジン車はFTR750より最大3.6kg重いホイールを選択することができます。

画像: ③ホイール最大重量は、レース専用エンジン車15.9kg・市販エンジン車19.5kgとする。

このように様々な面からFTR750 "以外" のマシンにアドバンテージを与えようとする変革ですが、高額なエントリー支度金?も災いして、現在最高峰プレミアクラス・スーパーツインズへの出場台数はわずか10数台。そのうちヤマハMT-07が1台、ハーレーダビッドソンXG750Rが1台で・・あとはみーんなFTR750です。ルール改訂でモディファイやチューニング可能な範囲は極端に狭められ、強豪ライダーも部位によってはほぼツルシ状態で戦わねばならなくなり、実力や資金力などの差は少なくなる、でしょうか?個人的には絶対にルールの抜け穴を探すチームが出てくると思いますけど・・・。

切り分けられた最高峰カテゴリーと市販車改造クラスを再びコンバインド?

向かうところ敵なしのパフォーマンスを見せつけるインディアンFTR750という当代最強マシンの台頭と、motoGPと肩を並べる?プレミアムなシリーズデザインを画策する主催者の思惑とが、今ひとつ噛み合ないまま交錯する、ここ数年のAFTスーパーツインズですが、今回のルール改訂に合わせ、これまで切り分けられていたひとつ格下扱いのサポートクラス、市販エンジン改造車のみの "プロダクションツインズ" のマシンも、スーパーツインズに参加可能となる模様で、事実上垣根が取り払われることになる?みたいです。改悪が正されるのはよいことではありますけど・・・。

画像: 丸ごとオリジナルデザインなブライアン・スミスのFTR750とか今後どうなるんでしょ。全戦出てないけど?

丸ごとオリジナルデザインなブライアン・スミスのFTR750とか今後どうなるんでしょ。全戦出てないけど?

端で見ていてもなんとも危うい、スポーツそのものの伝統とか技術の正常進化を見誤ったような極端なプレミア化の流れが、これを機に元の王道かその先にある次のステージへと戻っていき、さらに歩を進めてくれることを、1ファンとして注意深く見守っていきたいところです。

ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

画像: 切り分けられた最高峰カテゴリーと市販車改造クラスを再びコンバインド?
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