横滑りする前後タイヤが鳴き、擦れたホットシューからは火花が散って、まるで鏡のように青黒く表層が磨き上げられた硬質路面 "ブルーグルーヴ" は、ザックザクのクッショントラックと好対照をなす、ダートオーバル・スポーツならではの風情ですが、"数人でなんとなく走っていればだんだん仕上がってくる" といった簡単な現象ではありません。何日も前からの、あるいは恒常的なトラックプレップ = 路面作りの労なくしてはおそらく実現しない、いわば情熱のバロメーターなのです??

ターン進入部分、チョッピリ黒光りしてんじゃね?レベルならいざ知らず!

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。土がカッチカチに踏み固められ、柔らかなレーシング・コンパウンドのタイヤラバーが何重にも擦り付けられてテラテラと黒光りする "グルーヴ路面" はまるでコンクリートのように硬く、タイヤや足回りのセッティング選択さえ大きく誤らなければ、冗談抜きにアスファルト同様にグリップします。

画像: ターン進入部分、チョッピリ黒光りしてんじゃね?レベルならいざ知らず!

このようなより均質で強靭な路面コンディションが形成されるのは、決して偶然によるものではありません。大まかに三つの要素が不可欠です。

①表層だけでなく地表から10数センチ下まで事前の撒水によって十分な湿度が保たれ、乾燥による表面剥離が起きにくいよう入念に転圧されていること

②トラック表層に浮き砂・小石などのデブリ (破片・残骸・堆積物の意味) がほとんどなく、ライダーが意図しないイレギュラーなマシン動作が減ることで、結果的に路面へのダメージが軽減される

③しなやかなレース用コンパウンドのタイヤラバーが、比較的低い空気圧で運用されることでトラック表層に塗り込まれ、後輪のホイールスピンでデブリをトラック外に弾き出すとともに、グリップレベル良好なゾーン (所謂レーシングライン) が徐々に拡大していく

まったくの個人的に、あるいはごく小規模なグループの走行で、これらの条件をすべて満たし、硬質なブルーグルーブ・トラックが運良く生まれるチャンスは・・・多分そんなにありません。幅にしてタイヤ数本分のブラックマーク様が刻まれることはままあっても、"ソレ以外" との質の差が出てしまっては、よりいっそう安定した走路形成、ひいては次元の高いレース展開へも至らないのです。

画像: カチカチ路面じゃないですが、このスポーツのタイヤって、けっこう"潰して使う"イメージなんです。

カチカチ路面じゃないですが、このスポーツのタイヤって、けっこう"潰して使う"イメージなんです。

毎週・毎日・毎時間?魂込める"ケアテイカー"の存在が絶対条件ですが?

均質で安定した良好な硬質路面を形作るには、とにかく乾燥を避け、地中深くまで浸透した水分がその場に居残ってくれることが大変重要です。このためには走行予定の前日前夜、可能であれば数日前から大量の水を撒き、土を締め固めて分子レベルでの結合を強く保持することが大変有効です。

画像1: 毎週・毎日・毎時間?魂込める"ケアテイカー"の存在が絶対条件ですが?

筆者ハヤシが主催するレースシリーズFEVHOTS (現在はCOVID-19禍により全イベント開催休止中) が、ほんの数年前まで使用していた茨城県の某レーストラック (周長200m弱・地主都合により現存せず) では、毎回のイベント開催前夜に、我々レーススタッフの手によって少なくとも8,000〜10,000L (1トン積み撒水車10杯分)の水を撒き、当日の路面維持の助けとしていました。長靴でも容易に歩けないほどビッチャビチャな沼みたいにしてやって、それでもまだまだ不十分、といった具合です。

ここの土質は硬く青光りするグルーヴトラックではありませんでしたが、それでも充分に保水させることで当日の路面へのダメージを大幅に軽減でき、撒水回数を減らすことでレース進行スケジュールにも大いに余裕が生まれていました。

本場アメリカの、ブルーグルーブ系硬質路面で名高いあるレーストラックは、クラブメンバー形式の自主的な運営で長年活動していますが、週末のレース・イベントに向けて、3〜4日前からダバダバに撒水をおこなうルーティンをかれこれ何十年も、毎週のように続けています。

自身や家族や仲間のために、ライダー目線で遊び場?戦場?であるレーストラックに手をかけることは、このような自律的運営スタイルだからこそ可能なのであり、このトラックが独特の存在感を保ち続けるひとつの理由になっているとも言えるでしょう。

モトクロスやロードレースみたいに、思い立ってパっと行ってチャリンと走行料払ってサっと乗ってくる、みたいなドライな付き合い方が、実はマッチしないのかな・・・と思わせられたり・られなかったり?トラック運営側にとっても、誰も乗らない日の整備の煩雑さったら、とことん好きでなきゃ続けられないレベルでしょう?

路面づくりの方向性やスタイルは多種多様なれど、今ある各地のトラックに感謝の気持ちを忘れずにいたいですよね。

ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

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