春はあけぼの!筆者ハヤシは件の蔓延防止の観点から?所用があれば数ヶ月に一度くらいレーストラックにチラっと出向くかなーどうかなー?の禁欲気味な生活スタイルを続けていますが (ウソです。実際は育児でやたら忙しいだけです) 、例年シーズン初めのこの時期になると俄然問い合わせが多くなるのは新たなダートトラック挑戦者の買い求めるべきマシンについて。日本で古くからこのスポーツに親しむための名車とされてきたアレとかアレは、そろそろタマ数もぐーんと減って、めっきり見つけにくくなっているようですね。

今5人のビギナーが買い求めてレースに出るまでが平易かどうか?を想定

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。王道チョイスでも変化球狙いでも、個々の好みでどんなモデルを選んで走らせていただこうとも、レース主催者としては大いに結構なんですが、新たに複数の新入りライダーへ向けた一般解としてこの場でご紹介できるかどうかというのはまた別の話。

今回はたとえば、我が国で5人のビギナーがそれぞれ同じマシンを手に入れて、ひとつのクラスで競い合うことが今すぐ可能かどうか、という物差しで品定めをしてみたいと思います。いくら"ダートトラック的に"本格的でも美しくても、ふたつとないレアな車種なども今回は除外しましょう。

生産終了10年経過の名車とか。1980年代の不人気車とか。既にタマなし!

画像: HONDA CRF100F(2012)

HONDA CRF100F(2012)

ヒャクが基本・ヒャクで充分・ヒャクこそ真理???どういうわけか我が国のダートトラックシーンでは古くから (主にホンダ製の) 小排気量100ccクラスのミニトレール車を、初心者向け〜玄人の基礎練マシンとしてまで幅広く使い倒す、"ヒャク信仰" とでも言うべき奇妙なムーブメントがあります。

その最新型であるCRF100Fは2012年までで生産終了となり、翌年からはセル付き・10kg増量・出力だいぶダウンの中国メイドの後継機種、CRF125Fにその座を取って代わられていますが、比較すればトータルバランスは圧倒的に旧型100ccのほうが上。すでに10年近く前にカタログ落ちしたにも関わらず、そんな "ヒャク" の中古相場は当時の定価に迫る20万円+になることも珍しくありません。

筆者かけだしのころなら先輩ライダーからタダとか!高くても5万円くらいでお下がりを譲ってもらえた、オンボロのポイント点火の低年式モデルでさえ、今やフタケタ万円での取引もザラです。いやはや。それだけ優れたマシンだということですけどね、ヒャク。軽量小柄で気軽に乗れるしチューニングノウハウもよく知られたホントの名車ではあるんですが、よもやプレミア価格で高騰中とは、コストパフォーマンスという点では不利な印象の昨今です。

画像: HONDA FTR250(1987)

HONDA FTR250(1987)

1986年に発表されたホンダFTR250は、当時まったく日の目を見ずに不人気車として短命なモデルイヤーを終えましたが (実はウラの事情とやらもあるらしいのですが?) 、その後も我が国ダートトラック界では唯一無二の量産コンペティションマシン的扱いで、根強く人気を保ってきました。2000年代になってもその偏愛されっぷりは止まず、最新の水冷250ccモトクロス車両をDTXモディファイ (ダートトラック向けの最適化) したマシンとも互角以上に渡り合うパフォーマンスを見せますが・・・今や中古市場でのタマ数は激減、気がつけば随分前からすでにクラシックバイクの域にあるといっても良いかもしれません。

筆者の印象では、10年ちょっと前まで現役で走っていたような個体は、隅々までマニアックに手を入れられた、本当に力強く速く走るものばかりでしたが、最近走り出した車両は "ただの旧い中古車" って感じで・・・元来の設計と素性の良さはもちろんあれ、実はなかなかとんがったチューニングがそれら個体のパフォーマンスを大きく左右していたことは疑う余地もありません。

どうでしょう?どちらも今すぐ5台、状態のよい即戦力のマシンをパッと揃えるのは難しいかもしれません。時間とお金次第ではもちろん可能ですけど、それでは今日の趣旨から離れてしまいます。

すーぐ日本独自の追求で良い、的な安易な折衷案も出がちなんですが・・

ダートトラック競技の本場アメリカでは、(ヴィンテージマシンや2ストロークの一部マシンを除いて) 250cc以下の単気筒エンジンはいわば "ガキの使い" です。そもそも日本でいう軽二輪カテゴリのラインナップが手薄で充実度が違う、というのもありますが。現行モトクロス車ベースの水冷250ccDTXマシンでさえ、小柄な中学生〜高校生くらいのライダーが、450ccへのステップアップのためほんのいっとき乗る程度の扱い。

一人前の大人の体格のアマチュアライダーは、パワーと車格と車重のバランスから言っても、450ccでのレース参加を志向するのがまぁ一般的と言えるでしょう。あるいは空冷400〜600ccとか。

画像: すーぐ日本独自の追求で良い、的な安易な折衷案も出がちなんですが・・

そんなビッグパワー万歳のアメリカで、ここ数年ちょっと話題になっている市販ミニ・ダートトラッカーがこのSUNDAY MOTORSです。イギリス企画・中国メイドのトータルパッケージでホンダ酷似の横型150 / 190ccエンジン搭載。前後14インチの手頃なミニバイクサイズで、肩肘張らないお遊びレースやパドック内移動用ピットバイクとしての需要が見込まれているようです。現地定価は2,399〜3,399ドルで、日本にも30〜43万円くらいで輸入しようという計画があるとか?

横型190ccはきっとなかなかパンチのあるエンジンだと思いますから、軽量小柄な車体と相まって恐ろしく切れ味鋭い走りを見せることは間違いないでしょう。カタログコピーの "キミもこのマシンで450ccをやっつけちゃおう!" はどうかと思いますが・・・。競争系スポーツとしてはおおざっぱにでも排気量や車格でフォーミュラを揃えるのが鉄則なんですよね。ヨンゴーよりミニバイクが楽チン有利なのはこの競技では "当然" です。それで勝っても別にエラくもなんともありません。根本的に理解が浅いのかなイギリス人。サイドがバーン!しちゃってませんか?

鈍重系200〜400ccのパワーを確実に路面へ伝える走りを身につけては?

筆者がこれから先、ビギナーにも積極的にお勧めしてライダー層を厚くしていきたい "日本ならではのスタンダード・エキップメント" はズバリ!空冷単気筒230ccと400ccの2つのカテゴリーです。具体的に車名を上げて言うならホンダFTR223とヤマハSR400。どちらもすでにカタログ落ちした車種ですが、ある時期に全国のストリートを埋め尽くすほど人気だったその一世風靡の具合から言って、今やホンダのヒャク系よりは入手もチューニングTIPSも豊富なモデルです。

コラムにいくらつらつら書き連ねても、やるやる言ってるわりに自分のマシンとして仕立てなかったらあまり信用ない感じですからね、我が家には223のエンジン2機とSR400の丸車が1台エンジン3機、いじくり回されるのを (多分) 待ち構えていますので、今年はそろそろマジメに車両作りに打ち込んでみたいと思っています。がんばろっと (自分に言い聞かせています) 。

ということでマシン製作関係各位はいい加減そろそろ?お手伝いよろしくお願いいたします。
ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

画像: 鈍重系200〜400ccのパワーを確実に路面へ伝える走りを身につけては?
コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.