気づけば桜の蕾も膨らみ始める3月、皆様いかがお過ごしでしょうか?"事態の延長" とか "確定の申告" とかで大いにバタつく時節、不覚にもフォローを怠っていましたが、本場アメリカのダートトラックレースシーンはこの週末あたりから、激動の新シーズン?がいよいよスタートする模様です。

"デイトナバイクウィーク" に合わせAFTが1/2マイルWヘッダーで開幕!

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。アメリカンフラットトラック、かつてはGNC = グランドナショナルチャンピオンシップと呼ばれた全米プロ選手権の年間スケジュールは、古くから3月上旬の "デイトナバイクウィーク" に合わせ、フロリダ州デイトナビーチでの (一応常設の) ショートトラック戦、あるいは近年ならば (AMAスーパークロス造成用の残土を利用した特設トラックでの) TT戦から開幕するのが定番スタイルでした。

去年の2月に当コラムで取り上げたデイトナ・レーストラックの歴史記事。あのころはまだ例のウィルス禍は全く顕在化してなかったんですね・・・いやはや。

画像: "デイトナバイクウィーク" に合わせAFTが1/2マイルWヘッダーで開幕!

昨年のAFT開幕はCOVID-19パンデミックの影響によって実に7月まで遅れ、デイトナ・スーパースピードウェイから20マイル = 30分、目と鼻の先の距離にあるヴォルーシア・スピードウェイでのハーフマイル戦Wヘッダーがその舞台となりました。今期もその前例を踏襲し、来たる来週3月12日・13日に、デイトナバイクウィークの開催期間に合わせ、戦いの幕が切って下ろされる予定です。

謎の感染症 (当時) のおかげでお先真っ暗だった昨シーズンと比べれば、真に平和なスタートですが、グランドスタンド席が$33、プレミアムクラス席が$60、トラックサイド駐車場$65、敷地内宿泊用のキャンピンググラウンドがミニマム$100〜$500・・・いずれも "1day料金" みたいですけど?・・・場内満員の集客が望めないためか、料金設定がだいぶ高めです。

AFTではレースエントリーする選手側が要求されるコストも年々増加しています。昨年の世界的・あるいはアメリカの国内的な景気動向の悪化から、果たしてどれほどのライダーが今期の開幕戦に元気な顔を見せるのか・・・特に現在のプレミア・クラスたる "スーパーツインズ" の年間グリッド (最大登録数18台?) が埋まるのか否か、気になる状況が続いています。現時点では12台しか出ないとか?

王者インディアンはファクトリー2・サテライト2の4ライダー体制に!

昨年までのインディアン・ファクトリーチームはブライアー (レースナンバー1) と ブロンソン (レースナンバー37) のバウマン兄弟。そして "サテライト待遇のプライベートチーム扱い" としてジャレッド・ミース (レースナンバー9) という3台体制でした。ファクトリーライダーの制約を嫌い、資金面を含め自由度を求めたジャレッドと名チューナー、ケニー・トルバートコンビの目論みは的中、常にトップコンテンダーのひとりとして首位争い、チャンピオンシップを牽引する活躍を続けます。

画像: 左からブライアー・バウマン、ジャレッド・ミース、彼のチューナーのケニー・トルバート。サテライト枠のジャレッド組のほうがチームウェアーのサポートパッチが賑やかです。このあたりも才能、なんですかね?

左からブライアー・バウマン、ジャレッド・ミース、彼のチューナーのケニー・トルバート。サテライト枠のジャレッド組のほうがチームウェアーのサポートパッチが賑やかです。このあたりも才能、なんですかね?

新シーズン2021年のインディアンは、ブライアーとジャレッドという年間チャンピオン経験者の両名を "ファクトリーライダー" と位置づけ、ブライアーの弟ブロンソン・バウマンと2016GNCチャンピオン、ブライアン・スミス (レースナンバー4) を "サテライト待遇のプライベーター" としてトータル4台体制で走らせることを発表。

経験値の差から言ってジャレッドとブロンソンのポジション入れ替えは妥当でしょうし、昨年末にハーレーダビッドソン・ファクトリー消滅の憂き目に遭ったブライアンが、長年タッグを組むチューナーのリック・ハワートンと共に培ってきた独自のメソッドと戦略を、再びインディアン・チームにもたらすことは、なにか新たな可能性を予感させます。

画像: 2018シーズンにインディアン・ファクトリー所属だったブライアン・スミスとリック・ハワートンが独自に仕立て上げたスペシャルフレームのマシン。テキサスでの一戦のみで投入されたが、その後は諸事情によりお蔵入りに。超小柄なブライアンの身長を考慮し、通常のFTR750より一回り小さく、450ccフレーマー同格のサイズ感。彼らはこの "小さなインディアン" の再登板ももちろん視野に入れている、とのこと。楽しみ!

2018シーズンにインディアン・ファクトリー所属だったブライアン・スミスとリック・ハワートンが独自に仕立て上げたスペシャルフレームのマシン。テキサスでの一戦のみで投入されたが、その後は諸事情によりお蔵入りに。超小柄なブライアンの身長を考慮し、通常のFTR750より一回り小さく、450ccフレーマー同格のサイズ感。彼らはこの "小さなインディアン" の再登板ももちろん視野に入れている、とのこと。楽しみ!

そんなインディアン、2016シーズン最終戦でのデビュー以来、トップカテゴリー最強の名を欲しいままにするFTR750ですが、他メイカーのマシンでは太刀打ちできないほどの圧倒的な強さが仇となり、"完全閉め出し" へと向けた取り組み・・・明るい陰謀?が着々と進んでいることは、本場では周知の事実なのはご存知でしょうか?

そのひとつは2019シーズンからスタートした、450ccDTXと最高峰スーパーツインズを繋ぐ第三のサポートクラス (という名目の) 2気筒市販車改造エンジンクラス "プロダクションツインズ" の存在。

画像: 王者インディアンはファクトリー2・サテライト2の4ライダー体制に!

マニュファクチャラー間の拮抗した (健全な?) 競争状態を維持し、スポーツとしての多様性を得たいAFTは、将来的に一人勝ち状態のインディアンFTR750 "のみ" が参加できないこの市販車改造カテゴリーを、同レースシリーズでの最高峰クラスに位置づけたい意向なのです。

これは筆者の深読みですが、昨年でいったん活動を休止したハーレーファクトリーチームも、トップカテゴリーから撤退し、頃合いを見て (スーパーツインズがインディアンONLYのエキシビジョンクラスに成り下がったころ?) プロダクションツインズにシレっと復帰するシナリオなのでは?と推測。FTR750不在なら十二分に勝機ありですもんね。あると思いますよ?

ジョニー・ルイス + ロイヤルエンフィールドの "モーレツ推し" とか、FTR750はレース専用車だからダメでハーレーダビッドソンXG750は出場できる歪 (イビツ) なレギュレーションとか・・・。いずれあれこれ良い形に納まるといいですけどね。この不透明でアンバランスな感じが、最近のAFTを象徴してるというか、イマイチ退屈にさせているような気がするな・・・。

筆者最注目は今週末から5連チャンのオールスター・アマチュア・旧車戦!

さて気を取り直して、AFT開幕戦を翌週に控えた今週末からは、フロリダ近辺でダートトラックレーシングのビッグイベントが連日目白押し。著名なレースプロモーター、スティーブ・ネイス氏の主宰する非AFT系レースイベント、"AMAオールスター・ナショナル・フラットトラック" なるシリーズこそがその中核で、3月5日金曜から賞金も設定されたプロクラス・アマチュア各クラス・ヴィンテージレースが5連チャン・・・ハーフマイル4戦とショートトラック1戦・・・で行われる予定です。

画像1: Steve Nace Racing 2012 vimeo.com

Steve Nace Racing 2012

vimeo.com

素朴でストレートな昔ながらのダートトラックレーシングイメージ、とても親しみを感じるんですよね。奇をてらってないというか・・・マジメ?このプロモーターのイベントは、見るのも走るのも楽しそうです。ホントに。

我々は競うために生きるのか?生きるために競うのか?それが問題だ?

今にも桜が咲いて出かけたくなる気持ちでいっぱいですが、筆者主宰のレース団体FEVHOTSは、今年も去年に引き続き、当面のあいだレース・イベント開催のお休みを継続する方針です。第三の波はいつのまにやら治まってきたような気配ですが、全国どこへでもフラットに人々が行き来できる状況になるその日まで、集めたり集まったりを極力避けようという考えは基本的に変わりません。

おおっぴらに乗らない代わり、競わない代わりにできること、今のうちにお互いキッチリ進めて支度しておきましょうよ。いざ勝負!ってときに波に乗り遅れたら本末転倒、意味ないですもんね。

画像1: 我々は競うために生きるのか?生きるために競うのか?それが問題だ?

ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

画像2: 我々は競うために生きるのか?生きるために競うのか?それが問題だ?
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