何千台かのバイクを撮り続けてきたプロがスーパーカブの撮り方を教えちゃうぞ、つうて自分のことなんだけどね。フリーのカメラマンになって20年以上やってきたので、少しでも伝えれれば、と。
とはいえ大前提として、愛車を自分で撮って楽しければそれが一番なので、あくまで一人のカメラマンの経験談ということで。

2020年の2月16日に開始した「スーパー・カブカブ・ダイアリーズ」。内容については、取材に協力していただい様々な方のおかげなんですが、せっかく1年続いたので自分自身でもなんか人に還元できるものがないかな、と。

で、自分は雑誌業界入って20年以上バイク撮り続けてて、たぶん何千台かは撮ってると思うんですよ。そこで覚えた撮影知識を伝えれればな、と。

というわけで今回は、スーパーカブの置き撮りとして、車体全体(シチサン)と部分カットについて、です。中でも構図とか絞り値とか置き方ね。
方向性としてはトップ画像にもあるけど、こんな感じ。

画像: スーパーカブを撮ってみよう。シチサン写真の撮り方をバイク撮影20年のプロが頑張って解説してみた。〈若林浩志のスーパー・カブカブ・ダイアリーズ 1周年特別編〉

写真の要素としては、ライティングも構図と同じくらい重要なのよね、ほんとは。今回はライティングの説明はしないけど、光を意識すると雰囲気の良い写真になるよ。好評だったらまたやろうかと。

ただ、写真って人によって正解が違うので、自分の好きな撮り方が一番よ。プロでももちろん人によって個性あるし。一応、プロの最大公約数的なものを目指したけど、あくまでご参考までに。

オススメ機材

カメラについて

カメラは何でも良いよ。一眼でもミラーレスでもフルサイズでもAPS-Cでもフォーサーズでも大丈夫。ただ、望遠系レンズが基本になるし、解放f値もある程度明るい方が使いやすいので、レンズ交換式がメインになるかな。
ちなみに今回の記事ではニコンのフルサイズデジタル一眼使ってます。いつもはD500(APS-C)とスマホで記事の写真撮ってるけど、レンズが換算値になるとわかりにくいので。

センサーサイズで許容ボケの出方とかコストとか違いがあるけど、その辺が気になる人は好みで選んでね。ボケ足にこだわって特定メーカーやオールドレンズに走るのももちろんアリです。

で、レンズだけどオススメにして定番は、70-200mmのf2.8とか、70-200mmのf4あたり。車体全体を写すいわゆるシチサン(後述)はコレ。レンズに三脚座があると大層便利よ。

あとは装着されてるパーツ(部分カットってやつね)は、標準レンズで。これは標準ズームでも35mmとか50mmとかの単焦点でも。モノサス車でスプリングを写す場合とかは広角でないと撮りにくかったりするけど、大抵は50mm近辺でいけるよ。

三脚について

三脚ですが、無いと無理ってわけでもないけど、あった方が楽。
カメラ+レンズの荷重に耐えれればなんでも良いけど、ローアングルに有利な方が便利。とはいえ最近の三脚ってローアングル適性低いのが多いよね…。
自分の愛用してるのはマンフロットの055b。しかも何世代か前の旧型。エレベーターが2段スライドするやつね。昔は、最高のロケ三脚として知る人ぞ知る存在だったのよ。少なくとも自分の周囲では。
ハイアングルで撮りたいときはハスキーのハイボーイが強い。んで、ツーリングの時はベルボンのウルトラ使ってるよ。

雲台はハスキーの3Dヘッド。ピタッと決まる自分的最高の雲台。で、手前側のパン棒をロングにするとより使いやすいよ。これマメね。
ツーリングとかだと自由雲台のがコンパクトなので、そっちを使ってます。自由雲台は梅本製作所製のがピタッと決まるよ。

クイックシューはあってもなくてもどっちでも良いけど、オススメは梅本製作所のクイックシューSG-80。昔はクイックシュー否定派だったんだけど、こいつを使って宗旨変えしました。
選び方のコツとしては、カメラ側への取り付けがしっかり止まって回らないこと。

とりあえず基本はそんな感じ。あとはレフ版とかストロボとかもあったりなかったりだけど、それはまたいつか。

撮り方について

雑誌での撮り方って、基本は車体全体と部分カット。場合によってはイメージカットや、誌面構成に応じたカットも入るけど、一番の基本はその2つ。
で、シチサンの説明。

7:3(シチサン)とは

雑誌でバイク撮影する、いわゆる置き撮りド定番のカットがシチサン。表記はヒチサンでも良いかも。
車体全体の前斜めで、基本はマフラー側。後ろ斜めと区別するときは、前シチサンとか表シチサンとか言われるよ。後ろ斜めは、後シチサンとか裏シチサン。

前シチサンで「車体正面と右横」、後シチサンで「車体後部と左横」を写すことで、2カットで一通り表現できるって寸法ね。

で、シチサンの語源は、たぶん自動車雑誌用語からきてると思うのよ。

自動車撮影では、側面7割、正面3割で撮ることから7:3って呼ばれるのね。
ただ、バイクの場合は正面の情報量が少ないので、実際にはだいぶ側面寄りな比率。
だからシチサンと言われても額面通り7:3の比率じゃなくて、「前斜めで車体全体を良い感じ」、という認識で良いかと思いますよ。

というわけでシチサンの左右比率を変えた見え具合の比較。
撮影する目線の高さやバイクの形状、バイクのジャンルでバランスはけっこう変わりますョ。

目線の高さ。どこから撮る?

次は撮影する目線の高さ。個人的にはかなり重要なポイント。

ちなみに目線が高いと車体が水平線に対して前下がりになるのよね。目線を下げていくと、タイヤ下端が水平になる位置があるの。覚えとくと便利よ。

焦点距離による違い

さて、最初に70-200mmでって書いたけど、なんで望遠かというと、車体を歪ませたくないから
歪みがなさすぎるとミニチュアっぽくなるし、歪ませすぎると正確な形状が伝わりにくいので、そこはバランス。
自分の場合は、180mm近辺が好き。

参考までにレンズを変えて、画面いっぱいに写るようにした比較です。

絞り値の比較

やっぱり望遠レンズといえばボケですよね。ちなみにボケって言いだしたのは日本発祥らしいんですよ。だから英語でいう時はBokeh(bə́ukə)。

背景をボカしたいときは、望遠にするほどボケ大f値が小さいほどボケ大被写体と背景の距離が離れているほどボケ大ってことだけ覚えとけばオッケー。

特に被写体と背景の距離は置き方だなので、わりとなんとかしやすい部分よ。

あと大事なのは余白のバランスとか、水平垂直とか。ただそのへんは完全に好みよね。
水平垂直については、タイヤの下端で見るとわかりやすいよ。前下がりなのか後ろ下がりなのか水平なのかですごく印象変わるよ。真横で背景も車体もきっちり水平だと、なんか良い感じなるよ

車体について

ここまではカメラ側の話だったけど、お次はバイクの置き方とかについて。
結構違ってくるのよ、これが。

サイドスタンドかセンターか、それが問題だ

前シチサンは、マフラー側から撮るのが基本ですが、サイドスタンドで立てると奥側に傾くんですよね。で、奥側へのパースがつくことによって、目線が奥に逃げちゃう。
なのでサイドスタンドで撮影するときは、サイドスタンドの下に板とか置くんだけど、欲張ると倒れるのでご注意を。

スーパーカブの場合はセンタースタンドがあるので、まっすぐ立てるのは実に楽。
サイドスタンドでもセンタースタンドでも、最終的には撮る人の好みで。

画像: サイドスタンドかセンターか、それが問題だ

ミラーを取るとバイクが大きくなるよ

バイクってミラーの部分だけ高くなってるので、ミラーのせいで車体全体が小さくなるんですよ。
なので、ミラー取っちゃうのも手ですよ。

ただ、ミラーを取り付けるネジ穴って結構なめやすいので、あんま頻繁に取り外しするのもちょと怖い。自分のはRAMマウントにダブルテイクミラーを使ってるので、外すの簡単。そのかわりボールは残るけどね。

備考:フロントをまっすぐにしたいときは

ハンドルを切って写真撮りたいときはお好みの切れ具合でもちろんOKなんだけど、逆にまっすぐにしたいときはちょっとだけコツがあるんですよね。

それは「車体に対してフロントタイヤをまっすぐに合わせること」。

ハンドルで合わせるんじゃなくてタイヤなんですよ。
シチサンで撮った時に、フロント周りで一番面積でかいのはタイヤなので、前後タイヤの角度がずれてると、捻って見えちゃうんですよね。なのでタイヤ最優先。

車体に対してタイヤ径が大きいバイクだと、特に影響がでかいのよね。

部分カットでパーツを撮るぞ

部分カットは50mm前後がオススメ。標準レンズでお好みで。特に注意することはないけど、あえていえば割り切りかな。写真は引き算といいますし。
「パーツをはっきり」とするか「全体的に広め」とするかで両極端に振ると良い気がしますよ。

で、わかりやすい方が良いので、ある程度絞りを絞った方が良いかも。
とりあえずマフラーで絞り比較。

イメージカットは適当です

4イメージカットはそれこそ正解がないですよね。自分が気に入ったらなんでもOK。自分でいうと、水平垂直を無視して傾けたり。

画像1: イメージカットは適当です

あえてシンプルに向き合ってみたり。

画像2: イメージカットは適当です

なんかちょっと普通とは違う切り取り方、みたいなのが出来れば万々歳でございます。

まとめ

というわけでなにげに20年以上の集大成。ぶっちゃけスーパーカブ以外でも基本は同じだと思うので、参考になればなによりです。
あと最初の方にも書いたけど、光の扱い(ライティング)も超重要。

色々試して遊んでみてね。

写真・文:若林浩志

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若林浩志/プロフィール

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