AFTレースナンバー65、コリー・テクスターはペンシルベニア出身の34歳。2019シーズンから新たにスタートした2気筒市販エンジン車クラス "AFTプロダクションツインズ" 初代王者にして実業家、コンテンツ配信者、トレーナー・・・様々な顔を持つ彼が、選手権オフシーズンにここ数年自ら主催するローカル・レースイベント "ウィンター・スロウダウン" について、本日はご紹介しましょう!

"単なるシェイナの兄ちゃん" なんて思ったら大間違いのマルチタレント!

WELCOME RACE FANS!! ダートトラックライダー/FEVHOTSレースプロモーターのハヤシです。我が国では、実妹シェイナ・・・女性プロダートトラックレーサーとして当代一の実力者・・・の知名度にちょっと押されがち?なコリーですが、彼らテクスター兄妹がほぼ同時にプロキャリアをスタートさせたのはかれこれ10数年前。人望厚いGNCライダーだった父ランディのもと、それぞれ4歳くらいからダートトラックレースを始めた2人にとっては、当然の成り行きだったのかもしれません。

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レーシングライダーとしての優れた才覚だけでなく、自身のアパレルブランドを立ち上げたり、ダートトラックレースシーンにまつわる様々なゲストへのインタビューをメインコンテンツとしたポッドキャスト配信、あるいは若手・アマチュア育成のプログラムを通年で主宰するなど、彼が変幻自在に様々な活動へと向かうバイタリティは、今日のAFTでも特異な存在です。

そんなコリー・テクスターがここ数年注力しているのは、オフシーズンの冬に比較的温暖な地で、年一回のローカルレースイベント "ウィンター・スロウダウン" を主催すること。今年は去る1月9日、フロリダ州北部のキャラハン・スピードウェイで行われ、実に397台のエントリーがあったとか。

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参加台数400の大台に迫るレースイベントを "滞りなく" 進行させるには?

かつて黄金期のGNC: 全米プロダートトラック選手権 (現在のAFT) トップカテゴリーには、100台を超えるエントリーが集まり、観客の入場以前に参加台数を48台 (規定のレースフォーマットが許容する最大数) までふるい落とすための "予備予選" が行われることもしばしばだったといいます。が、これはあくまで1クラス = 決勝18台出走で勝者は当然1人だけ・・・を決める興行型レースでの話。

コリー・テクスター主催の "ウィンター・スロウダウン" みたいな "参加型レースイベント" の場合、門前払い式のクチ減らしは妥当な手段ではありません。"競うために集う参加者" こそが楽しませるべき相手、なのですから、全ての参加者は可能な限り公平な走行機会を与えられるのが良なのです。

画像1: 参加台数400の大台に迫るレースイベントを "滞りなく" 進行させるには?

この日、397台の参加車両は、15のクラスに分かれてレースを行うことになりました。その内訳は、

30歳以上 ・・・14台
40歳以上 ・・・18台
450ccアマチュア (14歳以上) ・・・39台
450ccエキスパート (14歳以上) ・・・38台
50歳以上 ・・・28台
50cc (4〜8歳) ・・・15台
65cc (7〜11歳) ・・・13台
85cc (7〜15歳) ・・・29台
フーリガン (市販ビッグツイン) ・・・35台
マッドドッグ・アンリミテッド (改造無制限の小排気量) ・・・20台
オープン250cc (12歳以上) ・・・22台
オープンアマチュア (12歳以上) ・・・48台
オープンエキスパート (14歳以上) ・・・38台
スクールボーイ (7〜15歳) ・・・21台
ビンテージオープン (1986年以前) ・・・19台

AMAのアマチュア選手権然り、AHRMAのダートトラックカテゴリー然り。クラス分けのアウトラインが決まっているから、コンペティターたちは無心で?集中して?競技に参加することができます。

15クラスあれば当然15人の勝者が生まれるわけですが、この日の397台を捌き切るレースオペレーションはどのくらい複雑だったのでしょう?オーガナイザー心理?やや怖いもの見たさで調べると、

・全397台がそれぞれ2回のプラクティス (おそらく数周ずつ)
・全クラス合わせて62回のヒートレース
・全クラス合わせて31回のセマイレース (semi = セミファイナル・・敗者復活戦)
・450cc / オープンの各エキスパート = プロクラスで2回のトロフィーダッシュ (数周の賞金レース)
・決勝前セレモニーの一部として数周の "メモリアルラップ (いわゆるパレードラン)"
・15クラスそれぞれ = つまり15回の決勝レース
・表彰台写真撮影
・すべてのレース・セッションでの計時と着順管理・リザルト掲示

参加者が競い合う走行セッションを震えながら指折り数えると・・・なんと110レース!あります。この全てで着順が記録され、次の走行順のグリッド確定のための紙の掲示とかがあるわけです。チェッカーフラッグマンも110回ブルンブルン振るんですからね。途中でもう帰りたくならないのかな。

画像2: 参加台数400の大台に迫るレースイベントを "滞りなく" 進行させるには?

クラッシュ・アクシデントがあれば当然その間レース進行は止まりますし、あちらスタイルでは朝から最終レースまで、常駐が基本となる救急車が万が一立ち去っている時間帯はレース再開はできないはず。夜間照明があって決勝がナイターになるとしても、全110ヒートをその日のうちに確実に回し切るためには、相当な胆力とスタッフの強靭な組織力が必要なはずです。

好きだからやってる?ただのレース好きなら誰でも?そうそうできるもんじゃないと思いますよ。

我が国にダートトラック "レース" に競技者として参加する総人口は現状400人もいないかもしれませんが、うーんスタッフ最低何人いれば確実に成立するかとか考えちゃいますね。すごい。

COVID-19禍でアマチュアライダーが楽しむ参加型イベントが激減していることもあるのでしょうが、この規模のレースを年に何度かやってほしいなんて要望がすでにバンバン出ているらしく、新たなムーブメントがムクムクと立ち上がりそうな嬉しい予感を感じます。いいぞコリーもっとやれ!

ではまた金曜日の "Flat Track Friday!!" でお目にかかりましょう!

画像: いやホント、こんな話聞くとアッパレだしワクワクするんですけど。私たちFEVHOTSは、まだ、やりません。

いやホント、こんな話聞くとアッパレだしワクワクするんですけど。私たちFEVHOTSは、まだ、やりません。

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