25年ぶりの250cc4気筒として登場したNinja ZX-25Rは
2020年9月に発売された。
その魅力をいま一度、再検証する!
文:中村浩史/写真:森 浩輔、南 孝幸
※この記事は月刊オートバイ2020年12月号に掲載した「現行車再検証スペシャル」を一部加筆修正しています。

カワサキ「Ninja ZX-25R」試乗インプレ・車両解説

画像: Kawasaki Ninja ZX-25R SE KRT EDITION 総排気量:249cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 最高出力:33kW(45PS)/15,500rpm ラムエア加圧時:34kW(46PS)/15,500rpm 最大トルク:21N・m(2.1kgf・m)/13,000rpm 発売日:2020年9月10日 メーカー希望小売価格:91万3000円(消費税10%込)

Kawasaki Ninja ZX-25R SE KRT EDITION

総排気量:249cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
最高出力:33kW(45PS)/15,500rpm ラムエア加圧時:34kW(46PS)/15,500rpm
最大トルク:21N・m(2.1kgf・m)/13,000rpm
発売日:2020年9月10日
メーカー希望小売価格:91万3000円(消費税10%込)

発売までの流れ、令和の250cc・4気筒

カワサキが4気筒250ccのロードスポーツを開発しているらしい→まさか今どきそんな→東京モーターショーでデビューと、本当にまさかのデビューだったニンジャZX‐25R。まさか今どき、と考えたのは、この国内販売市場縮小の時代に、4気筒250ccエンジンモデルみたいな高コスト商品を作るなんて、と思ったからだ。

高コスト、というのは、4気筒エンジンゆえの部品点数の多さから。排気量が違っても、たとえばニンジャZX­‐6Rも同じ4気筒で、国内の販売価格は135万円超。排気量が4割になったって、価格が4割になるわけじゃない。250ccらしい値付けとなると、2気筒エンジンのホンダCBR250RRが82万円超──。この価格帯に収まるメドがついた時に、ZX‐25R販売にゴーサインが出たのだと思う。

さらに大きいのは、このZX‐25Rを、タイを中心とした東南アジアでも販売すること。タイの新車販売台数は日本の約5倍と言われていて、その販売見込み台数を考えると、充分に採算が取れると考えたのだろう。とにもかくにも、約四半世紀ぶりに、4気筒250ccロードスポーツの新車が一般のバイクショップで手に入ることになったのだ。これは嬉しいことだ!

画像1: カワサキ「Ninja ZX-25R」試乗インプレ・車両解説

そのZX‐25Rは、完全新設計の4気筒250ccエンジンを、専用のスチールトレリスフレームに搭載するフルカウルスポーツ。当然ながら1990年代のZXR250系とはまったく違うエンジンで、やはり4気筒の特徴か、高回転高出力型。

旧時代の4気筒エンジン車と比べると、特にフレームがアルミツインチューブからスチールトレリス構造になったことで、時代の流れを感じさせるが、現代のタイヤやサスペンションのパフォーマンスに合わせた車体剛性、素材選定や生産精度を考えると、このスチールトレリス構造が現在の最適解だったということ。

もちろん、アルミフレーム時代と比べて車体剛性が低い、なんてことはなく、フレーム+サスペンション+タイヤの組み合わせとしてバランスが取れている、ということだ。わかりやすく言うと、ガチッとした車体で走る旧世代4気筒と、しなりを生んで曲がっていくZX‐25Rという感じ。これが、令和の4気筒250ccエンジンの走りなのだろう。

エンジンをかけて、アクセルを何度かブリッピングしてみる。ジェットサウンドに、高揚感が止まらない!

画像2: カワサキ「Ninja ZX-25R」試乗インプレ・車両解説

ターゲットはエキスパートだけではない

またがって走りだすと、まずはZX‐25Rのシート高の低さに驚く。シート高は785mmと、2気筒のニンジャ250よりも低い! これだけでもZX‐25Rが特定の層、つまりベテランやエキスパートたちだけを狙っていない、間口の広いモデルなんだと分かる。スポーツ性を狙うなら、もっとシートは高い方、ライダー乗車重心が高い方がいいのだ。

発進トルクはほどほど。ゆっくり回転を上げて行く街乗りでは、パワフルさを感じることはない。トルクの押し出しでいえば、2気筒勢の方が力強い。

ただし、この回転域の4気筒のよさは、力強さよりもスムーズさ。トルク変動が少なく、なめらかにスーッと加減速できるし、ギアチェンジをサボってもイージーに走れるのだ。

ちょっとギア高いかな=低回転でも進むかなとか、逆にギア低いかな=エンジン回しすぎじゃないかな、という心配も必要ない。回転を気にしないでいいフレキシブルなパワー特性は、旧4気筒時代には味わえなかったことだ。特に、少しパワーバンドを外して回転をドロップさせると、なかなか進まないということがあった。

ちなみにZX‐25Rの低回転域は、6速3000回転あたりまで落としてみても、40〜45km/hといったスピード域からアクセルを開けていけば、ノッキングなく加速していく。決して力強くはないが、鋭い加速を望まなければ充分に使えるスムーズさ。ちなみに停止時からギアを1速に入れると、自動的に回転数が上がってスタート時エンストを防いでくれる。

画像3: カワサキ「Ninja ZX-25R」試乗インプレ・車両解説

本領を発揮するのは1万回転を越えたあたり。250ccとは思えない力強さで、レスポンスもシャープさを増して、ぐんぐんとリアタイヤを地面に押し付ける感覚を味わえる。この時のサウンドもまた官能的で、大きめの吸気音、エンジンの回転ノイズ、そして排気音が入り混じった、久しく効いたことがなかったジェットサウンド! この官能性能こそがZX‐25Rの大きな魅力のひとつだろう。

ハンドリングは2気筒のニンジャ250よりも15kg以上重いからか、手応えがあってエンジン回りの位置が重い。ただこの重さは、位置や高さをきちんと感じられている質量で、むしろハンドリングはしっとり、落ち着きが感じられるものだ。ヒラヒラなニンジャ250としっとりしたZX‐25R。2気筒モデルの軽すぎるハンドリングに不安を覚えるなら、4気筒のしっとり感がちょうどいい。

驚いたのはブレーキの効きで、シングルディスクとはいえ、ラジアルマウントのモノブロックキャリパーの効きがスゴかった! これはタイヤやフロントフォークとのセッティングの妙のおかげもあるはずで、その意味でも本当にカワサキはこのZX‐25Rをキッチリとセッティングしてきたんだなぁ、と思う。

SE KRTエディションに標準装備されるクイックシフターの完成度も高く、快感4気筒エンジンを気持ちよくコントロールできる。そう、この「気持ちよさ」こそが、ニンジャ250より旧世代4気筒よりも大きい、ZX‐25R最大の特徴なのだ。

ZX‐25R登場は、単体モデルの完成度の高さはもちろん「2020年に4気筒250ccモデルが発売された」という点でも歴史に残るビッグサプライズだった。これで、ライバルメーカーは黙ってはいれないだろうし、なにより250ccスポーツの選択肢がグンと広がったという点で、やっぱりZX‐25R登場は歴史的に大きな意義があることだったのだ。

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