2008年、ベントレー コンチネンタルGTに「スピード」というサブネームが与えられたモデルが登場。1923年の名車「ベントレー 3リッタースピード」の精神を受け継いでデビューしたこのモデルは、ベントレーとして初めて最高時速200マイル(320km/h)の壁を突破したことでも大きな注目を集めた。ここでは箱根で行われた試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2008年8月号より)

瞬く間に世界中でヒットしたコンチネンタルGT

ベントレーは、自らの年間生産台数を1万台に限ると公言している。1万台限定を謳うようになったのは、昔からではない。2003年に登場したコンチネンタルGTのヒット以来のことだ。

新たな親会社であるフォルクスワーゲンが同社初の高級サルーン「フェートン」用に開発したプラットフォームとエンジンを活用し、流麗で現代的なクーペボディをまとって登場したのが、コンチネンタルGTだ。

筆者は、発表直後のコンチネンタルGTとその年のル・マン24時間レースを制したベントレーEXP8に、南フランスで乗ったことがある。コンチネンタルGTは鈴木亜久里氏と交代で、モンテカルロからポールリカールサーキットまでハンドルを握り、EXP8には助手席に乗ることができた。

モンテカルロに到着すると、オテル・ド・パリの前には、あらかじめ何台ものコンチネンタルGTが並べられていた。前日まで、スペインのマラガで、別のプレスイベントが行われていて、そこから地中海沿いに、陸路、走ってきたという。贅沢なことに、その陸送運転手役は、ベントレーや(実動部隊である)アウディの契約レーシングドライバーたちだった。

「マラガから、ずっとスムーズに走って来れたから、非常に早く着いたよ。4輪駆動だから、とても安定していて、ハイスピードで巡航できた」

人なつこい笑顔で、コンチネンタルGTの印象を語ってくれたのは、ル・マン24時間レースに優勝したトム・クリステンセンだった。クリステンセンのインプレッションを聞いていなかったとしても、コンチネンタルGTの好印象は変わらなかっただろう。地中海沿いの、見通しが悪く、曲がりくねった高速道路を走っても、高速巡航性能を安定して発揮し続けていたからだ。

もうひとつのベントレーであるアルナージも、年々改良とパワーアップが施されてきたとはいえ、コンチネンタルGTのハイパフォーマンスは、同じベントレーとは思えないほどだった。

やはり、フェートンや兄弟車であるアウディA8のそれを思い起こさせる、現代的な速さだ。とくに、ターボ過給されたW型12気筒エンジンのパワーとトルクは圧倒的で、560psと66.3kgmは2.4トンを越える重量級ボディを軽々と加速させる。加速はエンジンだけによるものではなく、4WDシステムによる絶妙なトルク配分のなせるわざだった。なるほど、クリステンセンの言う通りだと感心した。

コンチネンタルGTの魅力は動力性能だけではなく、インテリアのしつらえにも備わっていた。ベントレー伝統のデザイン文法を守りながら、素材や色づかいで、とてもモダンな印象を与えることに成功していた。

各パーツの仕上げが丁寧なことにも驚かされた。アルミニウム製のスイッチやノブには必ず滑り止めのギザギザが刻まれ、絶妙な「重さ」で動くように調律されていた。コンチネンタルGTは、新しい時代のベントレーにふさわしい動力性能と魅力を持っていた。

そんなコンチネンタルGTが売れないはずはなく、瞬く間に世界中でヒット。日本でも同様で、スポーツ選手や有名人をはじめ富裕層の間で一種のブームを巻き起こしたほどだ。ごく一部の裕福なクルマ好きだけのものであったベントレーを、コンチネンタルGTは世間一般に解放したのだ。

画像: ダーククロム仕上げのフロントグリルがコンチネンタルGTスピードの特徴。リアビューでコンチネンタルGTスピードとスタンダードのコンチネンタルGTと見分けるのは難しい。

ダーククロム仕上げのフロントグリルがコンチネンタルGTスピードの特徴。リアビューでコンチネンタルGTスピードとスタンダードのコンチネンタルGTと見分けるのは難しい。

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